今後のWBSSの行方を左右する井上尚弥らバンタム級精鋭の拳
2018年10月04日 10:00
格闘技
一方、スーパーミドル級(76・2キロ)は参戦した世界王者がWBAスーパー王者ジョージ・グローブス(英国)だけだった。準決勝進出者がインフルエンザになったためリザーブの選手が途中参戦し、グローブスが肩を負傷して決勝が延期とアクシデントにも見舞われた。9月28日、サウジアラビア・ジッダでの決勝ではカラム・スミス(同)がグローブスとの英国人対決を制した。
人材が集まったクルーザー級は「最強決定トーナメント」の名称にふさわしく、「最強決定」とまではいかなかったスーパーミドル級も階級を活性化する“登竜門”の役割を果たした。米国で知名度のある選手は契約するプロモート会社の興行出場が優先されて参戦が難しく、負傷の多いボクシングにトーナメント戦は向いていない。だが、選手にとっては高額賞金はもちろん、有名選手との対戦や知名度アップのチャンスも魅力的だ。
「シーズン2」では井上ら世界王者4人が出場するバンタム級が「最強決定戦」、ウシクが抜けて再スタートのクルーザー級が「登竜門」で、世界王者は2人(1人は暫定)ながら無敗選手が5人参戦するスーパーライト級がその中間、という位置づけだろう。そのため、バンタム級の優勝者が「シーズン1」のウシクのような“大会の顔”となりそうだ。軽量級では初開催で、欧州勢がWBAスーパー王者ライアン・バーネット(英国)ら2人だけというバンタム級が成功するかは、今後の大会運営をも左右する。井上らバンタム級の精鋭が「シーズン2」で世界中を魅了する試合を提供するようなら、日本人の選手層が厚いフライ級〜スーパーフェザー級でWBSSが行われる可能性も高まる。(専門委員・中出 健太郎)