今後のWBSSの行方を左右する井上尚弥らバンタム級精鋭の拳

2018年10月04日 10:00

格闘技

今後のWBSSの行方を左右する井上尚弥らバンタム級精鋭の拳
<井上尚弥練習>スパーリングを行う井上尚弥(撮影・島崎忠彦) Photo By スポニチ
 WBA世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が参戦する賞金争奪トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)」は7日、横浜アリーナで「シーズン2」が開幕する。2年目はバンタム級(リミット53・5キロ)、スーパーライト級(同63・5キロ)、クルーザー級(同90・7キロ)の3階級を実施。各階級8選手によるトーナメントの1回戦は「10・7横浜」から毎週2試合ずつ、6週続けて世界各地で開催される。
 昨年9月にスタートした「シーズン1」は2階級で行われた。クルーザー級はWBA、WBC、IBF、WBOの主要4団体世界王者が全て参戦し、7月にモスクワで行われた決勝で2012年ロンドン五輪ヘビー級金メダリストのオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が史上4人目となる4団体王座統一と、理想的な展開。ウシクは11月に4冠防衛戦を予定しているが、今後はヘビー級進出が有力視される。

 一方、スーパーミドル級(76・2キロ)は参戦した世界王者がWBAスーパー王者ジョージ・グローブス(英国)だけだった。準決勝進出者がインフルエンザになったためリザーブの選手が途中参戦し、グローブスが肩を負傷して決勝が延期とアクシデントにも見舞われた。9月28日、サウジアラビア・ジッダでの決勝ではカラム・スミス(同)がグローブスとの英国人対決を制した。

 人材が集まったクルーザー級は「最強決定トーナメント」の名称にふさわしく、「最強決定」とまではいかなかったスーパーミドル級も階級を活性化する“登竜門”の役割を果たした。米国で知名度のある選手は契約するプロモート会社の興行出場が優先されて参戦が難しく、負傷の多いボクシングにトーナメント戦は向いていない。だが、選手にとっては高額賞金はもちろん、有名選手との対戦や知名度アップのチャンスも魅力的だ。

 「シーズン2」では井上ら世界王者4人が出場するバンタム級が「最強決定戦」、ウシクが抜けて再スタートのクルーザー級が「登竜門」で、世界王者は2人(1人は暫定)ながら無敗選手が5人参戦するスーパーライト級がその中間、という位置づけだろう。そのため、バンタム級の優勝者が「シーズン1」のウシクのような“大会の顔”となりそうだ。軽量級では初開催で、欧州勢がWBAスーパー王者ライアン・バーネット(英国)ら2人だけというバンタム級が成功するかは、今後の大会運営をも左右する。井上らバンタム級の精鋭が「シーズン2」で世界中を魅了する試合を提供するようなら、日本人の選手層が厚いフライ級〜スーパーフェザー級でWBSSが行われる可能性も高まる。(専門委員・中出 健太郎)

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