尚弥の“70秒KO劇”がもたらすボクシング界活性化への期待
2018年10月13日 09:30
格闘技
約1カ月の冷却期間を置いて現役続行を決断。そう決めた後だったから井上の試合も横浜アリーナで生観戦する気持ちになったのだが、「心が揺れている時に、あのシーンを見ていたら完全に辞めてましたね」と振り返る。「嫉妬?そんなの通り越してますね。すねて帰りましたよ。やってらんねぇ〜!って感じですね」と独特の言い回しで井上のスゴさを表現。元WBA世界スーパーフライ級王者のセレスジム・小林昭司会長も「現役のボクサーだったら、みんなそう思うんじゃないかな」と同調とした。もっとも一番「やってらんねぇ〜!」と思ったのは4度目の防衛に成功した直後に“70秒KO劇”を見せつけられたWBC世界ライトフライ級王者・拳四朗(26=BMB)かもしれないが…。
岩佐が拳四朗と決定的に違うのは、井上との対戦を現実的なものとして考えなくてはいけないことだろう。井上はWBSS制覇を果たした後には4階級制覇を視野に入れ、スーパーバンタム級に上げてくる可能性があるからだ。ただ、それを悲観はしてはいない。
「井上が階級を上げたらWBSSでスーパーバンタムがあるかもしれないんですよね?出られるだけで栄誉のある大会。世界王者になれば出られるのは一つ上のモチベーションになりますね。井上との対戦?チャンピオンはシードだし、日本人対決は決勝でしょ?」
“70秒KO劇”は日本人ボクサーを絶望の淵に突き落としたが、一方で新たな夢や希望も生み出した。世界を驚かせた井上の一撃が日本ボクシング界の活性化につながることを期待したい。(大内 辰祐)