村田諒太が踏み出す次の一歩 「誰か」ではなく「自分」のための現役続行
2018年12月06日 11:00
格闘技
12年ロンドン五輪の金メダリスト。プロ入り後もまさに“王道”を歩み、アマとプロの両方で世界の頂点に立った。もちろん、村田自身が努力を積み重ねてきた結果だが、その陰には帝拳の本田明彦会長をはじめとするスタッフ、多くのスポンサー、そして家族のサポートもあった。だからこそ、敗戦直後に「98%ぐらい」辞めるつもりだったにも関わらず、「自分一人で決められることではない」と進退を保留したのだろう。最終的に、サポートしてくれた人たちへの感謝の思いを持ちつつ「誰かのため」ではなく「自分のため」に続行を決断したことは、本当に良かったなと感じている。
「トライ&エラー」…村田がブラント戦を前にした練習で何度か口にした言葉だ。世界戦での敗戦はあまりにも代償が大き過ぎて、単なるエラーと位置付けるのは難しいだろうが、敗戦から学ぶこともある。現役を続けていけば、将来的に単なるエラーだったと思える日が来るかもしれない。村田は17年5月の世界初挑戦でアッサン・エンダム(フランス)に敗れたが、“疑惑の判定”によるもので、今回の敗戦が実質的なプロ初黒星。「負けて思ったのは、納得して負けることなんかない」だったという。練習して課題を克服していけば再びベルトを獲れるのか?それほど甘い世界ではないことは知っているが、村田の次の一歩に期待したい。
王座から陥落した村田は、アリスの1978年の名曲「チャンピオン」を聴いたという。「いい歌だとは思いましたけど…分からなかったですね。まだやろうって思っている僕が聴くのは早かったみたいです」。そんな村田には竹原ピストルの「カウント10」をオススメしたい。そういえば、前WBO世界フライ級王者の木村翔(青木)は竹原ピストルのファンで入場曲に竹原の「Forever Young」を使用していた。村田とは対照的な“雑草王者”だが、こちらも近いうちに再起を表明してくれると信じている。 (大内 辰祐)