大学院生坂本、王者殴り倒す 国公立大出身で初の世界王者狙う
2018年12月06日 05:30
格闘技
「本当にうれしい。ボクシングを始めたときは考えられなかった。感謝を力に替えて、世界チャンピオンを殴り倒したい」
後輩のためにも、負けられない。坂本が競技を開始した大阪市立大ボクシング部は現在、部員が2人まで減少。今年度で廃部する方向にある。「ぼくが世界を獲って、入部希望者が増えてほしい」。同部復活への起爆剤になるつもりだ。
背負うものは他にもある。アマ実績はほとんどなく、才能の開花は大学院生とプロボクサーとの二足のわらじを履いてから。ムザラネとの世界戦が浮上しても、ジムOBで元世界王者の名城信男氏や担当トレーナーは当初、経験不足で時期尚早との考えだった。
しかし、このチャンスを逃すまいと枝川孝会長らはタイトル承認料など「ウン千万円」とされる必要経費集めに奔走した。ベルト奪取後に、大阪市大体育館での防衛戦開催を視野に入れることを「セット条件」(同会長)として陣営はスポンサーを募集。大阪市大の荒川哲男学長らが橋渡し役となり、創業者の鳥井信治郎がOBであるサントリーなど約10社が支援を決め、資金にもメドがついた。
実現過程を知る院生ボクサーは、腹をくくっている。7月に企業の内定を辞退し、坂道を走っては吐いた過酷なトレーニングにも耐え、国公立大出身で初の世界王者を目指す。