東北大相撲部出身の中田勝浩が逆転KOで技能賞 ボクシング新人王西軍代表決定戦
2020年12月27日 17:32
格闘技
この日はサウスポーとの対戦。中量級はもともと選手層が薄い上、コロナ禍もありスパーリング相手が簡単には見つからなかった。不安を抱えてリングに上がり、序盤から劣勢。ロープやコーナーに追い込まれ、カメのようにガードを固めて防戦一方。時折、左ボディー、右フックを返して抵抗を試みるのがやっとだった。しかし3回に右ボディーを効かせて一気に形勢逆転。動きが止まった相手に1メートル85の長身から打ち下ろす右ストレートを連打し、レフェリーストップを呼び込んだ。「(相手が)距離を詰めてきたので、うまくハマった。パンチをもらうのはダメ。直していきたい」。無邪気に、はしゃぐことなく勝因を冷静に分析した。
桃山学院高(大阪)では柔道部所属。東北大では「かっこいい」という理由で相撲部の門を叩いた。しかし大きな問題があった。「メシがそんなに好きじゃない」。食に興味がないため、ミドル級(リミット72・5キロ)で戦う現在とほぼ同じ体重だったという。2年生までは試合にも出場したが、次第に相撲への興味を失い、同部に籍を置いたままボクシング同好会を立ち上げた。食事には淡泊なだけに水が合ったようだ。大学卒業後は地元大阪へ戻り、18年夏に実家から近い井岡弘樹ジムへ入門。この日の勝利を含め戦績は5戦全勝4KOとした。
目標を問われても「世界チャンピオン」とは絶対に言わない。「ボクシングは楽しい。でも、どこまでやろうとか決めていない。負けたら(引退するかどうかを)考える。いつでも負けるリスクを背負っているので。覚悟はあります」。地に足を着けて、自分のできることをやり抜く構えだ。
なおMVPはスーパーバンタム級で3回TKO勝ちした福永宇宙(黒潮)、敢闘賞はバンタム級で判定勝ちした冨田風弥(伊豆)が受賞した。