浜田剛史氏展望 攻めてペース握りたい恒成、前半五分なら井岡に流れ

2020年12月30日 05:30

格闘技

浜田剛史氏展望 攻めてペース握りたい恒成、前半五分なら井岡に流れ
大みそかのタイトルマッチで対戦する田中恒成(左)と井岡一翔(Ambitionジム提供) Photo By 提供写真
 【WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ   王者・井岡一翔《12回戦》同級1位・田中恒成 ( 2020年12月31日    大田区総合体育館 )】 予備検診が行われ、王者・井岡、挑戦者・田中ともに異常なしと診断された。井岡は体格に大きな差がなかったことを歓迎し、2度目の防衛に自信満々。1階級上げた田中は好調をアピールし、王座奪取に自信を示した。4階級制覇と3階級制覇の日本人による大みそか決戦は、どんな展開になるのか。スポニチ本紙評論家の浜田剛史氏(60=元WBC世界スーパーライト級王者、帝拳代表)が展望した。
 試合の前半は田中が積極的に攻める展開が予想される。井岡はブロックして打ち終わりを狙って返しながら、中盤以降に田中のスピードが落ちたところで流れをつかもうとするだろう。難しい判定になると思われるが、ディフェンス面で井岡がやや有利ではないか。

 攻撃力はほぼ互角。コンパクトなパンチの井岡に対し、田中は結構振ってくる。大振りでもスピードがあれば悪いことではないが、打ち合いで不用意にパンチをもらう場面も見られる。また、井岡は打たれた時も顎をしっかり引いているが、田中は顔を上げたまま打たれることがあり、この見栄えの悪さは採点を左右しかねない。打ち合いでどちらのパンチが有効かジャッジも判断しづらい場合、打たれ方の違いがポイント差に表れることがあるからだ。田中にクリーンヒットがあっても、井岡のパンチが顔に当たる瞬間がはっきり見えてしまうと「田中が打たれた」という印象を与えてしまう。田中は攻める持ち味を生かしながらも、どれだけ顎を引けるか、この一点だけについては意識した方がいい。

 スーパーフライ級では井岡の方が実績はあるが、田中も階級を上げたことによる不利は感じられない。体重が増えてもスピードが落ちず、むしろパワーがついた井上尚弥と同じくマイナス面はほぼゼロだと思う。若くて勢いのある田中としては前半に攻めて完全にペースを握りたい。先に攻めて、打ち返されても、また打ち返すという展開になれば井岡の方がスタミナを消耗し流れを変えるには相当なエネルギーが必要となる。逆に前半が五分だと後半は井岡の流れになる。前半のうちに強いインパクトを与えることが大事になってくる。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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