“戦うシングルマザー”吉田実代、僅差判定で王座返り咲き 苦難乗り越え「人生の財産になる」

2021年06月29日 21:46

格闘技

“戦うシングルマザー”吉田実代、僅差判定で王座返り咲き 苦難乗り越え「人生の財産になる」
<WBO女子世界スーパーフライ級タイトルマッチ10回戦>奥田朋子に右を浴びせる(右)。判定勝ちで王座返り咲きを果たした  Photo By スポニチ
 プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級女子世界スーパーフライ級タイトルマッチ10回戦は29日、東京・後楽園ホールで行われ、前王者で挑戦者の“戦うシングルマザー”吉田実代(33=三迫))が奥田朋子(38=ミツキ)に2―1で判定勝ち。王座返り咲きを果たした。
 昨年12月の対戦では6回負傷判定の不完全燃焼。その悔しさを払しょくするように果敢に前に出た。長身でリーチの長い奥田に対し、ガードを固め、頭を下げて圧力を掛ける。序盤は頭だけが突っ込む形となり、奥田に主導権を握られたものの、セコンドからのアドバイスで修正し、右のオーバーハンドがヒット。最後はスタミナで押し切り、ジャッジ3者の採点は96―94×2、94―96の僅差ながらもベルトを取り返した。

 勝利が告げられると、吉田が飛び上がって喜び、椎野大輝トレーナーと抱き合って涙。関係者や応援してくれたファンへの感謝の言葉も途切れ途切れだった。

 敗戦で失ったのはベルトだけではなかった。「進退を考えたり、自信がなくなって自分が分からなくなった時もあった」が、「三迫ジムの仲間がみんな頑張っている姿を見て奮い立たせられたし、落ち込んだりしていると声を掛けてくれた。ちょっとずつ自分を取り戻せた」という。

 そして一番の支えが最大の理解者であり、応援者でもある愛娘・実衣菜ちゃん(6)の存在だった。「娘も不安があったのか、言葉数も少なくて『勝って』じゃなくて『頑張って』としか言わなかったですね」。愛娘のためにも負ける訳にはいかなかった。内容的には課題も残ったが、陥落のショックを乗り越えての王座返り咲き。吉田は「人生において財産になります」と笑みを浮かべた。

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