歴史に名を刻んだ藤岡奈穂子 東京五輪で後輩ボクサーの活躍に期待
2021年07月23日 08:00
格闘技
出発前に空港で取材させてもらったが、驚かされたのは、そのポジティブな思考だった。実はプロモーターから航空券が届いたのは出発前日の夕方。普通ならドタバタしそうな状況だが、藤岡はまったく慌てていなかった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、搭乗には72時間以内の陰性証明も必要。藤岡はチケットが届かず、出発日が変更になった場合に備えて、この日もPCR検査の予約を入れていたという。「○○だからできない」ではなく、常に「やるために、どうするか」を考える。アスリートに限らず、一流と呼ばれる人たちに共通する前向きな思考を持ち、行動しているからこそ、環境や状況が変わっても力を最大限に発揮できるのだろう。
過去に米国で世界戦を闘った日本人女子ボクサーは09年7月の風神ライカ(竹原慎二&畑山隆則)と12年7月の真道ゴー(クラトキ)の2人で、ともに挑戦者として臨み、判定で敗れている。藤岡は米国での世界戦で初めて勝った日本人女子選手として歴史に名を刻んだ。あまり大きく報道されなかったのは残念だったが、道を開き、後輩ボクサーたちに新たな可能性を示した価値は大きい。
23日に開会式が行われる東京五輪では、ボクシング競技に初めて日本人女子選手が出場する。フライ級の並木月海(自衛隊)と入江聖奈(日体大)はともに有力なメダル候補だ。12年ロンドン五輪から実施された女子ボクシングでメダル獲得なら、もちろん史上初の快挙。両選手には女子ボクシングにスポットライトが当たるような活躍を期待している。(記者コラム・大内 辰祐)