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400万円オーバーは高い?安い? 今や希少なFFホットハッチ! 25周年を迎えたフォルクスワーゲン・ポロGTIの走りをチェック!! ゴルフGTIとの違いは?

2024年05月09日 14:00

400万円オーバーは高い?安い? 今や希少なFFホットハッチ! 25周年を迎えたフォルクスワーゲン・ポロGTIの走りをチェック!! ゴルフGTIとの違いは?
スモールボディにパワフルなエンジンの"ホットハッチ" ポロGTIの魅力は、ゴルフよりも一回り小さなボディにハイパワーなエンジンと、強化されたシャシーを組み込んだことで得られる走りの楽しさだ。モデルチェンジごとにサイズアッ […]

スモールボディにパワフルなエンジンの”ホットハッチ”

VWポロGTI

ポロGTIの魅力は、ゴルフよりも一回り小さなボディにハイパワーなエンジンと、強化されたシャシーを組み込んだことで得られる走りの楽しさだ。モデルチェンジごとにサイズアップして行くのが常の世の中で、3ナンバー枠になったとはいえ「かつてのゴルフサイズ」を思い起こさせるポロGTIのサイズ感は、走り好きには理想的に映るだろう。

エンジンは現行四代目(ポロとしては六代目)からその排気量がアップサイジングされ、ゴルフGTIやゴルフRと同じ2.0L直列4気筒ターボとなった。そのアウトプットは最高出力が207ps/4600-6000rpm、最大トルクが320Nm/1500-4500rpmと、ゴルフGTIよりも38ps/50Nmほどデチューンされている。

ポロGTIのエンジンはゴルフGTI、ゴルフRと同タイプの1984cc水冷直列4気筒DOHCインタークーラーターボ。
車種 ポロGTI ゴルフGTI ゴルフR
ボディサイズ 全長:4085mm
全幅:1750mm
全高:1430mm
ホイールベース:2550mm
全長:4295mm
全幅:1790mm
全高:1465mm
ホイールベース:2620mm
全長:4295mm
全幅:1790mm
全高:1460mm
ホイールベース:2620mm
車重 1310kg 1430kg 1540kg
エンジン 1984cc
水冷直列4気筒
DOHC16バルブ
インタークーラーターボ
最大出力 207ps(152kW)
/4600rpm-6000rpm
245ps(180kW)
/5000rpm-6500rpm
320ps(235kW)
/5350rpm-6500rpm
最大トルク 32.6kgm(320Nm)
/1500rpm-4600rpm
37.7kgm(370Nm)
/1600rpm-4300rpm
42.8kgm(420Nm)
/2100rpm-5350rpm
パワー・ウェイト・レシオ 約6.3kg/ps 約5.8kg/ps 約4.8kg/ps
駆動方式 FF FF 4WD

しかし車重は120kgほど軽いから、その走りはかなり軽快。パワー・ウェイト・レシオで比較するとゴルフGTIの約5.8kg/psに対してポロGTIは6.3kg/psだから、確かに加速力では兄貴分に一歩譲る。しかしだからこそ踏み切れる楽しさがポロGTIにはあり、それが極めてホットハッチ的である。またコーナーアプローチにも、軽さが生きてくる。

ポロGTIのエンジンルーム(エンジンカバーを外したところ)

そのエンジンサウンドも、ゴルフより遮音が効いてないせいだろう、割と野太く車内に響いてくる。そしてこれが、むしろやる気にさせる。

程よくエンジンサウンドが響く室内。ゴルフ同様GTI伝統のチェック柄シートを装着するが、GTIのロゴはなし。フロントシート周りのレッドの差し色はむしろポロの方が多く、よりアグレッシブな印象だ。

7速DSGのクラッチミートはやや保守的で、スポーツモードではもう少しダイレクト感を出してもよいと思う。またマニュアルモードに入れてもリミット付近でシフトアップしてしまうのが、少し残念だ。しかし相変わらずデュアルクラッチの変速スピードは素早く、このトランスミッションがあってこそ、パワーに頼らずとも直列4気筒ターボの魅力が最大限に引き出されているのだとわかる。

コックピット周りのレイアウトは比較的オーソドックス。シフトもレバータイプとパドルシフトの組み合わせでDSGの走りが楽しめる。

対するシャシーは、乗り心地がかなり硬めだ。試乗車はオプションのスポーツセレクトパッケージを装着し、その足下に18インチタイヤを履かせていた。これによってダンパーは2段階で減衰力を可変することが可能になっているのだが、その乗り心地はノーマルモードでも明らかに硬い。
ただしその分だけ、ポロGTIのコーナリングパフォーマンスはかなり高い。

試乗車は18インチホイール装着車で、215/40R18サイズのコンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5を履いていた。

ワインディングではフロントサスがブレーキング時の荷重をガッチリと受け止め、ターンインでノーズをコーナーへとねじ込む。XDS(内輪ブレーキによる電子制御デフ)の制御が場面によってはやや人工的だが、全体的には実に良く曲がる。その際リアサスの接地性は、トーションビームながらもきちんと保たれている。

きちんと四輪を接地させたコーナーリング姿勢。

ポロという名前だけで小さいボディをイメージしがちだが、3ナンバーとなったことで、実は中速以上のコーナーも大いに得意だ。
コーナリングコンシャスなセットのせいか、直進性はゴルフGTIほど高くない。しかしひとたびハンドルを切り始めれば、手の平に素晴らしい操舵フィールが伝わってくる。

軽さを活かした軽快なフットワークと踏み切れる楽しさが魅力。コーナーリング時の操舵フィールが素晴らしい。

そこに2.0Lターボの加速と7速DSGの変速が加わると、得も言われぬ充実感が味わえる。この一体感の高さが、ベースのポロが今もってクラスを超えたボディ剛性を維持し続けている証拠だ。そしてこれこそが、他のクルマでは得がたいポロGTIの、最大の魅力だと筆者は思う。

2.0Lターボの欧州製FFホットハッチとしては納得の価格?

唯一のネックはその車両価格が448万5000円と高額なことで、試乗車に装着されていた「Sport Selectパッケージ(18インチホイール)」と「Discover Pro(上級インフォテインメントシステム) パッケージ」を付けるとその価格はさらに29万7000円ほど高くなってしまうことである。

近年のトレンドを踏まえグラスコクピット化が進められてはいるコックピット。試乗車は上級インフォテインメントシステム「Discover Pro」装着モデル。

2.0Lターボの直列4気筒エンジンを搭載するホットハッチと考えれば、その価格設定も納得は行く。とはいえ国内を見渡せば、それは304 psを4WDでさばき切るGRヤリスが買える価格だ。

トヨタGRヤリスは1.6L直列3気筒DOHCインタークーラーターボ+4WD(304ps/400Nm)で349万円(「RC/6速MT=競技ベース車」)〜。今回のポロGTIと近いところでは「RZ/8速AT」が483万円となる。

そしてGRヤリスと肩を並べるなら、ポロもGTIではなく「R」が必要になるが、その可能性はまずないだろう。そういう意味でいうとポロにも「R」を設定して、WRカーの片鱗を見せて欲しかった。

WRCを席巻したポロR WRC。残念ながらGRヤリスのような市販車版ポロRは、毎度噂には上がりつつも登場していない。

話を戻せばポロGTIは、サーキットスペックのクラブスポーツではない。むしろほどよく走りが楽しめるホットハッチだ。その割に足周りがやや硬すぎるのはちょっとアンバランスなのだが、それなら標準の17インチタイヤを選んでエアボリュームを稼ぐという手もある。サイドブレーキが未だに手動式なのを見てもわかるとおり、ポロGTIには内燃機関時代の良さがある。そこに価値観を見いだせるなら今でも、いや今だからこそこれを手に入れるというのもアリである。

VWポロGTI
ポロGTI
・Specification
ボディサイズ:全長4085mm×全幅1750mm×全高1430mm
ホイールベース:2550mm
車両重量:1310kg
エンジン:1984cc 水冷直列4気筒DOHC16バルブ・インタークーラーターボ
最高出力:207ps(152kW)/4600rpm-6000rpm
最大トルク:32.6kgm(320Nm)/1500rpm-4600rpm
燃料:ハイオク40L
トランスミッション:7速DSG
サスペンション:Fマクファーソンストラット/Rトレーリングアーム
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク/Rディスク
タイヤ・ホイール:215/45R17(オプション:215/40R18)
価格:448万5000円(「Sport Selectパッケージ(18インチホイール)」461万7000円、「Discover Pro(上級インフォテインメントシステム) パッケージ」478万2000円)

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