「鎌倉殿の13人」佐藤浩市&山本耕史トークショー「新選組!」以来の関係性「どこかオマージュ」

2022年04月17日 10:00

芸能

「鎌倉殿の13人」佐藤浩市&山本耕史トークショー「新選組!」以来の関係性「どこかオマージュ」
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のトークショーを開催した佐藤浩市(左)と山本耕史(C)NHK Photo By 提供写真
 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は17日、第15話が放送される。
 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第15話は「足固めの儀式」。源義経(菅田将暉)率いる一軍が迫っていると知った木曽義仲(青木崇高)は、後白河法皇(西田敏行)を捕らえて京に籠もる。一方、鎌倉は御家人たちが謀反を計画し、二分。上総広常(佐藤浩市)も加わり、義仲の嫡男・義高(市川染五郎)を旗頭とし、都ばかりに目を向ける源頼朝(大泉洋)の失脚をたくらむ。北条義時(小栗)は御家人たちの計画を潰すため、大江広元(栗原英雄)らと連携し…という展開。

 3月13日、千葉県富津市の富津公民館で「『鎌倉殿の13人』スペシャルトーク in 富津」が行われた。佐藤と三浦義村役の山本耕史が出席したトークショーの模様をリポートする。

 ――2人は「新選組!」でも共演。佐藤は芹沢鴨役、山本は土方歳三役。

 【山本】今、コロナ禍で2年ぐらいできていないんですけど、「新選組!」に関しては僕がみんなを呼んで忘年会とかをずっとやっていたんです。それとは別に浩市さんにはごはんに連れてっていただいたりとか、お家に遊びに行かせていただいたりとかしていて。そういった意味ではプライベートもお声掛けくれる数少ない先輩です。きょう浩市さんとトークできるっていうのが本当にうれしいです。

 【佐藤】僕も普段からコウジ、コウジって呼ばせてもらっていて。やっぱり「新選組!」の時がきっかけなんだろうな。今はできないんだけど、当時はみんなでよく酒を飲みに行ったし、そういったところでのつながり方が、それが今の時代では希有になっちゃったね。残念だけど。でも「新選組!」の時も、最初は新選組内の派閥のように僕ら前室、スタジオの前で出番を待っているスペースがあるんだけど、そこで芹沢一派、近藤一派に分かれて、あんまりしゃべらなかった。

 【山本】やっぱり僕ら隊士役は20代から30手前ぐらいが多かった中で、あの時の浩市さんは42歳くらいでしたけど、浩市さんはやっぱり僕らにとって、もちろん大先輩であるし、尊敬する俳優さんですが、それ以前にそもそも存在としてすごく大きかったんですよ。浩市さんが現場に入ってくると、こっちも気が引き締まるし、どういうふうに言おうかなとか、失礼のないようにって思いつつも、浩市さんは割と「元気か?」みたいに接してくれるので。でも、その優しさっていうのは芹沢と一緒で、どこまで踏み込んでいいのかなというのがあって。今、僕らにとってあの頃の浩市さんみたいなポジションって誰かって言われると、なかなか難しくて。大きな壁というか。プライベートでもそうですし、俳優としても立ちはだかっていてくれる存在なんですね。それってやっぱり大事だなと思っていて、そういった意味ではずっと浩市さんは僕にとって兄貴でもあるし、俳優としても大きな存在です。

 【佐藤】現場において山本耕史という人は、みんなをよく見ているんですよ。キャストだけじゃなくてスタッフのことも含めて。子どもの頃からやってきたキャリアもあるし、凄く冷静に現場を見て俯瞰しているから、いろんな人にフッと手を差し伸べたりできる。だから僕は「新選組!」の時も先に現場を去る身だったけど「後は頼むわ」って託せるような、そういうタイプなんですね。いい意味で本当の番頭だった。

 ――千葉という場所について。

 【山本】ロケで(三浦家の所領だった)三浦半島に行った時にいろんな話を聞くと、石橋山の戦いで敗北した頼朝を千葉に逃がしたのも、実は義村の三浦家だったんです。そういった意味で三浦が千葉につないだという関係性から、トライアングルのいろんな道筋が見えてきます。ドラマでは描かれませんでしたが、義村のおじいさん、つまり佐藤B作さん演じる義澄の、そのまたお父さんである義明が衣笠城で戦死した時、籠城してすべての敵を引きつけて頼朝たちを千葉に逃がしたという面があるので、頼朝は実は三浦に凄く恩があって、義明のお墓とか寺まで建てているんです。頼朝方のみんなが逃げ延びて最初に千葉に上陸したっていう所なので、ドラマの中でも千葉は重要な場所として「ここから始まる!」みたいな場所として僕は捉えていました。

 ――三谷作品について。

 【山本】浩市さん、何本目ぐらいですか?

 【佐藤】映画も含めると4~5本、じゃきかないか。もっとある。三谷さんはアテ書き(役者のパーソナリティーを登場人物に当て込む)の人。「きっとオレは人からこう見えてるだろうな」っていうイメージの「裏」を取ってアテ書きするということもよくやる人です。やっぱり人間の見方がそんなに素直なタイプじゃないから(笑)、そういう意味での面白さというか、そこの引き出しが、いろんな役者の魅力を引き出してくるというのはあると思いますね。

 【山本】僕は三谷さんと浩市さんがしゃべっているところにご一緒させてもらうことがよくあって、やっぱり三谷さんが浩市さんには「え、そうやった方がいいの?」とか、浩市さんも「いやいや、あれはもっとさぁ」とか。やっぱり三谷さんに物言える人って数少ないと思うんですよ。そこで話し合える関係って凄いなと思いながらも、それも三谷さんはどう捉えて、どの角度から浩市さんを見て、今、この話を聞いているんだろうかとか思ったりもする。浩市さんがおっしゃったように素直にパッと表面だけを見る方じゃないので。浩市さんにこういう台詞を言わせたら「これ一番見たい佐藤浩市だよね」っていうところも見せてくれるし、一方で、浩市さんが絶対言わないであろう言葉を言わせるのもやっぱり三谷さんの面白いところですよね。だって浩市さんがしょうもないこと言うのって、一番面白いじゃないですか。そういう瞬間も書いてくれたりするので、僕は楽しみに見ています。

 【佐藤】三谷幸喜さんと仕事する時の、僕に対する彼の下駄の預け方というかね、それは重々分かっているつもりなので、それを何割か増幅させてお返ししたいなって、そういうふうにいつもやっています。今回、当然、山本耕史も僕もそうだけど、やっぱりどこか「新選組!」へのそういうオマージュも作り手たちにあるんじゃないかなと。それは三谷さんが期待する部分でもあるし、お客さんも期待する部分でもあるし、そこら辺を自分の中でうまくシンクロさせながら、話が進む中でちょっとずつ変えていけるかなと思ってやっていました。

 ――「この役が来ていたら断っていたよ」という役は?(会場からの質問)

 【佐藤】北条政子(笑)。

 【山本】それは断ってください(笑)。断りたいとかじゃなくて、断るべきです。

 【佐藤】逆に「ちょっとやってみたいな」っていうのは、善児。あれ面白いね。

 【山本】浩市さんがそこでやるとなると、それはそれで面白いですよね。梶原善さんが今やられている善児は、何とも言えない、小柄で、優しいのか怖い顔してるのかちょっと微妙なところで、オーラがないのかあるのかもちょっと…っていうところがたぶん、あの善児の凄い奇妙なところ、恐ろしいところ。浩市さんが善児をやるとしたら、どういう出で立ちであれをやるんだろう。体は大きいし、オーラもある、でもオーラなんかパッと消しちゃう方ですから。それはそれで確かに見てみたい。

 【佐藤】善児は“遊び感”があるよね。僕ら役者にとっては、いくらでも膨らませられるという。

 【山本】僕もやりたい役と言われると、意外と和田義盛。いま横田栄司さんが演じているああいう役って、あんまり僕はやったことある印象もないし、ああいう「頭の中まで筋肉」みたいな感じはやってみたい気がします。

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