藤井聡太棋聖 初の海外対局制し先勝 ベトナム料理「コムガー」で鋭気 土俵際から押し返した
2023年06月06日 05:05
芸能
「粘りにいっているような手順で成算なく指した。お互いの王が不安定なままで、距離感を測るのが難しい将棋だった」
昼食休憩までに65手進むハイペースの後、両者ベトナム風チキンライス「コムガー」を味わった午後は一転、長考を重ね合うねじり合いに。終局後は反省の弁を連ねたが、終わってみれば土俵際からでも押し返す藤井の横綱相撲だった。
振り駒の結果、先手は藤井になり、戦型は角換わり腰掛け銀へ進んだ。対戦成績は過去2勝2敗の五分で、戦型は全局相掛かり。ただ、前回対局から2年近く。晴れ舞台で新たな棋譜をつくり上げる気概を感じさせた。
02年王座戦で羽生が勝利したのを最後に、タイトル保持者が敗れ続けた海外対局。挑むより守る側にのしかかる重圧すら藤井には無縁だった。昨年10月の竜王戦まで2勝4敗と苦しんだ防衛戦初戦という鬼門も、その後3連勝で5勝4敗とついに勝ち越した。
7月7日に愛知県豊田市で始まる王位戦7番勝負も挑戦者に佐々木を迎える、夏の12番勝負初戦。4日の前夜祭では、「ベトナムの豊かな食文化や美しいビーチ、街並みをできるだけ楽しみたい」などと語り、実際に佐々木とビーチを散策したりレストランバーでくつろいだ。
1日に7冠目となる名人を長野県高山村で奪取して中3日。心身両面の充実を、今度は海を越えて発信した。
≪佐々木反省「大局観と急所見えなかった」≫タイトル戦での初陣だった佐々木は終局後、「終盤、一瞬難しいかなと思ったがそこで悪手を指した。大局観と、局面の急所が見えなかった」と反省した。晴れ舞台には師匠・深浦康市九段が07年王位戦で使った着物をもらい受けて臨んだが実らず。「和服を着て、新鮮な気持ちで戦えたが慎重になりすぎた部分が多かった」。先手番となる第2局での巻き返しを期した。