羽生九段 会長職との“二刀流”でタイトル100期誓う 来年創設100周年将棋連盟の旗振り役に

2023年06月10日 05:10

芸能

羽生九段 会長職との“二刀流”でタイトル100期誓う 来年創設100周年将棋連盟の旗振り役に
新会長に就任し、抱負を語る羽生九段(撮影・尾崎 有希) Photo By スポニチ
 日本将棋連盟は9日、東京都内で通常総会と理事会を開催し、羽生善治九段(52)の新会長就任を決めた。タイトル獲得通算99期、永世7冠、国民栄誉賞のレジェンドは4月に自身初の役員立候補を表明し、同下旬の予備選挙で当選。この日の総会で正式に選任され、理事会で会長を拝命。連盟創設100周年を迎える来年を旗振り役の重責を担って迎えることになった。
 プレーヤーとして頂点を極めた羽生が、組織の中でも最上位に就いた。「私にとって初めての役職。全く慣れていない仕事、職務に就くわけですが、諸先輩の方々が必死の思いで紡いできた伝統を、いい形で次の世代につなげていきたい」。理事会後に東京都渋谷区の将棋会館で行われた記者会見、羽生は凜(りん)としたたたずまいで決意を表明した。

 前任者の佐藤康光九段(53)が任期終了と同時に会長退任の意思を明かしたのが4月。羽生はその直前の「3月末日に近い時期」に役員に立つ意思を固めたという。「(理事を務めた)諸先輩の姿を見て、私自身が本当の意味で将棋界に貢献できるのかはずっと考えていました」と、運営サイドへの思いを初めて明かした。同世代の佐藤が数多くの課題をさばく姿にも影響を受け、「本当に大変な思いで仕事をこなされてきた。佐藤さんと同じように働けるのかと考えたりもしましたが、その大変さを見つめながら立候補することになりました」と、盤上でしのぎを削ってきた僚友へのオマージュも吐露した。

 今後の運営詳細には触れなかったものの、藤井聡太王将(20)=竜王、名人、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=の活躍により「将棋の世界は大きな注目を集めている。将棋の素晴らしさ、奥ゆかしさを伝えていきたい」と、さらに将棋の魅力を世間に広げることを目標に挙げた。そして「地方の自治体とも連携し、その場所、その街の活性化のお手伝いもできれば」と、地方創生への情熱ものぞかせた。

 もちろん棋士としての活動も決して軽んじることはない。「佐藤さん、大山(康晴)先生、そして師匠の二上(達也)先生もそうだった。その大変さは実際に業務をやってみないと分からないが、自分自身できるところをやりきれたらいい。逆に忙しい方がメリハリを付けながら活動できると思っています」

 前人未到のタイトル100期獲得には十分「圏内」にいる。会長職との兼務でその偉業を目指すのも羽生らしい挑戦だ。新会長としての初仕事は10日、東京都渋谷区で行われる「駒テラス西参道」グランドオープン記念式典テープカットになる。
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