【記者の目】藤井聡太8冠は少数派の“追随タイプ” 成長を支える探求心

2023年10月12日 05:05

芸能

【記者の目】藤井聡太8冠は少数派の“追随タイプ” 成長を支える探求心
王座戦を制した藤井八冠(撮影・須田 麻祐子) Photo By スポニチ
 【記者の目】棋士は対局における戦型選択を主導したいタイプと追随したいタイプに分かれる。対局前の事前研究が重視される現代、主導タイプが有利で多数派なのは間違いない。テスト前の一夜漬けとまでいかなくても、研究通りの手順へ持ち込めばひとまずリードできる。
 その能力が高いから藤井は勝てるのか。違う。藤井はそもそも追随タイプだ。

 ではなぜ主導しないのか。「面白い」からだという。相手の用意した研究手順に飛び込んで打ち倒せば、勝利と同時に相手の予習まで取り込むことができる。自宅などでの普段の研究も、次の対戦相手の得意戦法を掘り下げることはない。「対局に向けて準備するより、普段から定跡をつくっておいてという感じです」と内なる興味を羅針盤とする。

 藤井をして、同タイプという羽生善治九段とのタイトル戦初対決となった年初の王将戦。羽生の追随スタイルについて「特定の戦型ではなく、将棋そのものを突き詰めたい姿勢の表れと感じる。その姿勢は見習いたい」。4勝2敗で制した7番勝負から7カ月で5冠から8冠へ。21歳の成長は今なお加速している。(将棋担当・筒崎 嘉一)
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