入門25年・桂吉坊が繁昌亭大賞受賞 満場一致で選出さえた実力派「一表現者として落語を広げ、深めたい」

2023年12月07日 13:11

芸能

入門25年・桂吉坊が繁昌亭大賞受賞 満場一致で選出さえた実力派「一表現者として落語を広げ、深めたい」
「第18回繁昌亭大賞」の受賞会見に出席した(左から)上方落語協会会長・笑福亭仁智、大賞の桂吉坊、奨励賞の桂福丸、新人賞の桂米輝 Photo By スポニチ
 上方落語協会は7日、「第18回繁昌亭大賞」を発表した。大賞には桂吉坊(42)が輝いた。奨励賞は桂福丸(45)、昨年新設された新人賞は桂米輝(38)が選出された。
 大賞は入門25年目以下で、上方落語の定席「天満天神繁昌亭」で活躍した落語家に贈られる。8人の審査委員が11月27日に選考し、決定した。上方落語協会会長の笑福亭仁智(71)は「3人がそれぞれ大きな志を持っているので、活躍を期待したい」とエールを贈った。

 14年に奨励賞を受賞した吉坊。仁智会長は「やっと来た」と評したほど、大賞を獲った吉坊の実力は誰もが認めるところだ。昨年は桂二葉(37)が女流落語家として初めて大賞を受賞したが、今回は吉坊が満場一致での選出。「入門して25年の節目の年にいただき、喜んでいます。周りの方々に感謝です」と吉坊も目を細めた。

 正統派落語家としてだけでなく、踊り、能楽、歌舞伎、雅楽など古典芸能に精通。師匠の桂吉朝さんや、内弟子としてそばに仕えた大師匠の桂米朝さんの影響を受けたからだ。落語以外の伝統芸能を含めて日本文化の伝承に尽力し、さらに「一表現者として落語を広げ、深めたい」と決意を新たにした。

 奨励賞の福丸は古典、新作の両方での頑張りに加え、子ども向けの落語で、将来へのファン層拡大への試みも高く評価された。小学校を回るだけでなく、繁昌亭での「子どもだけ寄席」では引率の大人の入場も禁止。「のべ2000人の子どもを前に演じてきました。子どもが喜ぶのはホントにストレート。舞台、ライブが好きな人を増やしていきたい」ともくろむ。

 新人賞の米輝は「上方にこんな変な光を放つ奴がいる」と仁智会長が紹介するほど、独特の着想で作った新作落語が評判に。特に自作の「イルカ売り」は評価され、「上方落語若手噺家グランプリ」(17年)で優勝。「繁昌亭が壊れるぐらいおもしろいネタを作りたい」と今後への意欲を見せた。
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