バイク川崎バイク「スーパーマルチピン芸人」への道① 文筆業で輝く才能、短編アニメの脚本は「小一時間」

2023年12月13日 06:30

芸能

バイク川崎バイク「スーパーマルチピン芸人」への道① 文筆業で輝く才能、短編アニメの脚本は「小一時間」
クリスマス飾りとともに写真に納まるバイク川崎バイク Photo By スポニチ
 お笑いタレントのバイク川崎バイク(43)にはまだ世にあまり知られていない才能がある。普段はサングラスをかけたバンダナ姿でBKB漫談を披露しているが、11月に行われた「関西演劇祭2023」では脚本演出を務めた舞台が脚本賞を受賞。本人いわく、普段の「軽んじられがちな」芸風とは異なり、文筆家として確かな実績を残す知られざる姿を2回にわたって届ける。
 脚本賞を取った「そこいらによくあるありふれた話」は売れようと必死にもがくピン芸人、シンガーソングライター、スポーツ選手が間接的に関わり合いながら、見ず知らずの相手に影響を与えていく群像劇。原作は自身のショートショート作品で、才能があるのに業界を辞めていった後輩芸人に着想を得てできあがった。作品には「日常で手応えを感じていないことでも何かの役に立つことがあるということを伝えたかった」との思いを込めた。
 演出面では45分という限られた上演時間を有効に使った。そこに生きたのが長年のピン芸人活動で培ったコントの構成力。「設定とかストーリー展開とか通じている部分は大いにあると思います」。冒頭から映像と歌唱を盛り込むなど、観客を引き込む工夫を施した。

 芸人と文筆業で2足のわらじで活動している。20年には新型コロナウイルスの自粛生活中に投稿したショートショートが書籍化。中でも「電話をしてるふり」はフジテレビ「世にも奇妙な物語’22 夏の特別編」で実写化もされた。

 小説を1冊書き上げたことで「文章の運び方」も変わってきた。今では一人称目線と第三者目線を有効的に使い分けて、物語を書いている。またショートショートをやったことは、現在担当している短編アニメの脚本にも良い影響を及ぼしている。「文字数の感じが分かった。3分間の会話劇なら1400字前後で書ける」と脚本家としての“時間感覚”も身についた。短い会話劇では文字数で作中のおおよその時間を把握できるようになった。そうした能力が身についたことで、アイデアがあれば短編アニメの脚本は「小一時間」で仕上げられるという。書き進めるごとに、ぐんぐん上がっていく文章力。今では「小説を書く上で1400字は凄く短い(と思えるようになった)ので、精神的に楽」と言えるまでになった。

 目指すのはスーパーマルチピン芸人だ。「あんまり言ってくれないんですけれども、ずっとマルチと言われたいんですよ」と願望を口にする。芸人、文筆家の他に元美容師の肩書きも持つ。その経験を生かしYouTubeチャンネル「BKB美容室チャンネル」では芸人の髪をカットしながら、トークをしている。

 好きでよくするエゴサーチでは「何日かに1回、BKBって今何をしているんだろう」といった意見も目につく。

 「俺のことを気にしているということは届く可能性があるということ。網をいろいろなところにまきたい。草の根活動ですね」

 「軽んじられる芸風」から「スーパーマルチピン芸人」へ。アイデアのガソリン満タンで、わが道をブンブン突き進む。

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