【悼む】興味があれば話に乗る生粋のカメラ小僧 篠山紀信さん

2024年01月06日 05:20

芸能

【悼む】興味があれば話に乗る生粋のカメラ小僧 篠山紀信さん
写真家の篠山紀信さん Photo By スポニチ
 港区赤坂の篠山さんの事務所にお邪魔すると、「門前市をなす」ではないが、いつも数多くの出版社の担当編集者が押し寄せ、順番待ちをしていた。
 精力的に仕事をしていた裏返しだが、本紙が提案した企画にも真剣に耳を傾け、興味をそそられれば乗ってくれた。「建つ過程が面白い」と完成目前の東京スカイツリーを撮りに行ったのも懐かしい思い出だ。

 篠山さんが古希を迎えた2010年12月には芸能面のコラム「我が道」に登場してもらった。1973年に当時14歳だった山口百恵さんを撮った写真が初回を飾ったが、連載の冒頭で「生い立ちや苦労話、ましてや家族や体の具合の話など全く書く気になりません。なにせ僕、現役の写真家ですから」とさらり。カメラ小僧の矜持(きょうじ)がのぞいた。

 12年から全国32会場を巡回した写真展「写真力」は、19年9月に東京で100万人動員を達成。江波杏子さん、浅丘ルリ子、カルメン・マキ、黒柳徹子までセミヌードにさせた60年代撮影の写真は今見てもまばゆいばかりだ。

 映画会社の女性と六本木を歩いていると、たまたま出くわした篠山さんが写真週刊誌のカメラマンのごとくパシャリとシャッターを押すポーズをとった。ちゃめっ気もある方だった。(文化社会部特別編集委員・佐藤 雅昭)
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