【王将戦】菅井八段 決意の5手目で振り飛車 藤井王将撃破へ「いつも通り」も目が…

2024年01月08日 05:29

芸能

【王将戦】菅井八段 決意の5手目で振り飛車 藤井王将撃破へ「いつも通り」も目が…
王将戦・第1日目・第2図 Photo By スポニチ
 【第73期ALSOK杯王将戦第1局第1日 ( 2024年1月7日    栃木県大田原市・ホテル花月 )】 先手を得た挑戦者の菅井竜也八段(31)の飛車は5手目で左へと振られ、7八の位置に。この瞬間、日本将棋連盟公式アプリのAI勝率は51%から47%へと4ポイント減少した。振り飛車を評価しない人工知能(AI)の無味乾燥なリアクションなど知ったことかと、挑戦者の表情は全く変わらない。「じっくりとした戦いになっている分、形勢判断が凄く難しい将棋になりましたね」。宿命を淡々と受け入れて指し続ける姿からは、振り飛車第一人者としての誇りがうかがえる。
 開局時刻の午前9時からさかのぼること26分。菅井は早くも対局場に姿を見せた。どんな棋戦でも早めに盤の前に座り、集中力を高めるのがこだわりのルーティン。自身のペースをかたくなに守って迎えた第1局は、27手目▲1九王(第2図)で穴熊とし、31手目▲3九金の時点では昨年4月23日の叡王戦第2局と全く同じ布陣となった。藤井も穴熊を選び、戦型は三間飛車合穴熊。菅井が勝利を挙げた序盤の駒組みを再現してみせた。相手に苦い記憶を思い起こさせる進行は、勝利にこだわる泥くささの発露でもある。

 藤井の42手目△8四飛を見て昼食休憩に入る。注文したうな重をわずか10分で平らげ、間髪入れず対局室にUターン。「自分は食事を早く済ませて盤の前に戻ることが多いんです。いつも通りの行動です」。慌てる関係者を尻目に盤上を凝視し続けた。「いつも通り」といいながら気合の込め方は尋常ではない。

 6日の前夜祭では「自分の振り飛車を信じて、しっかり指したい」と決意表明。自分を信じることは勝利への重要な要素だ。8日の第2日に向けても「集中して指していきたい」ときっぱり。その目力の強さも尋常ではなかった。

 ▽振り飛車 初期配置で右から2列目にある飛車を序盤で左側に動かすこと。動かした先が左から3列目の場合は三間飛車、中央列の場合は中飛車など、指した位置によってそれぞれ名称がある。菅井は振り飛車党の第一人者ともされている。ただ人工知能(AI)が示す評価値は芳しくなく、トップ棋士の採用は低迷。A級棋士の中で振り飛車党は菅井のみ。飛車を初期配置のまま据えて戦うのは居飛車。

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