【高松宮記念】マッジョーレ“最高”「JRAのミルコ」で初G1を
2015年03月26日 05:30
競馬
人馬の呼吸もピタリ。ダイワマッジョーレが理想的な最終リハを完了した。鞍上はもちろん、JRA移籍初日の阪急杯(3月1日)で重賞Vに導いたミルコ・デムーロ。坂路のスタート地点で約6馬身あったケイリンボス(4歳1000万)との差は瞬く間に縮まり、残り2Fで馬体を並べた。残り1Fでゴーサインが出ると、力強く前へ。4F51秒7~1F12秒5。貫禄の1馬身先着だ。
陽気なイタリアンはニッコリ。当然のように猛勉強した日本語を流ちょうに操った。「(前走の最終追いは免許期間前で)稽古に乗るのは初めてだけど、前に馬を置いて、いいペースで行けた。凄くいいコンディション。反応も凄く良かった」
動きを見守った矢作師も思いは一緒。初の6F挑戦に対応すべく、少しだけスパイスも加えた。「パターンとして1週前は強く、当週は軽く…というのも確かにある。ただ今回は1200メートルを考え、徐々にペースを上げ、今週はある程度目いっぱいという方法を取った。動きはとても良かった。距離不安?むしろ新たな境地が開ける。ポジティブな気持ちでいる」
言葉通り、前走後の初時計が6日の坂路4F60秒1。15日は57秒2、18日は52秒9。この日は51秒7と右肩上がりで負荷を強めた。前向きに電撃6F戦に対応できるように…。細やかな配慮だ。
13年5月京王杯スプリングC以来、前走は1年10カ月ぶりの美酒。長いスランプから脱し、悪条件を乗り越えた。「道悪は嫌だったし、スタートも良くなく、完全な負けパターン。状態の良さで乗り越えてくれた。よくここまで戻ってきてくれた。良くない時期が長かったので…」。10戦連続白星なしの悪夢に負けずに頑張った愛馬を、指揮官は素直に称えた。
04年皐月賞で父ダイワメジャーをG1初制覇に導いたM・デムーロは、昨年高松宮記念で同じ父を持つコパノリチャードのG1初Vに貢献。今年のマッジョーレも同産駒。何とも不思議な縁だ。M・デムーロは「父とは体形も走りも似てないけど、ブレーン(脳)は一緒。今年も同じダイワメジャーの子で勝ちたい。JRA騎手として初めてG1に挑戦できて、本当にうれしい」と喜びを素直に明かした。
手綱を委ねた矢作師も「名ジョッキーに託すだけ。指示なんて、おこがましい。何も言うことはない」と全権委任。6歳春を迎え、完成の域。阪急杯を再現できれば、G1でも突き抜ける脚は持っている。父と同じ「ダイワ」の冠名+イタリア語で「最高の」と命名された期待馬。イタリアの最高の名手を得て、夢のG1初制覇の瞬間が迫っている。