【G1温故知新】1994年桜花賞優勝 オグリローマン

2017年04月05日 06:30

競馬

【G1温故知新】1994年桜花賞優勝 オグリローマン
1994年の桜花賞、最内を突いて先頭に立ったツィンクルブライドを、ゴール前オグリローマンが外から強襲する Photo By スポニチ
 G1の過去の勝ち馬や惜しくも力及ばなかった馬、記録以上に記憶に残る馬たちを回顧し、今年のレースの注目馬や見どころを探る「G1温故知新」。第15回は1994年の桜花賞において2着のツィンクルブライドと芦毛馬ワンツーを決めたオグリローマンを中心に、芦毛牝馬たちの“白い桜”の歴史を回顧する。
 この時節の阪神競馬場に“白い桜”というのは意外なほどに咲かないらしい。戦前から続く長い桜花賞の歴史の中で、芦毛馬が勝ったのは1度だけ。「芦毛の怪物」と呼ばれたオグリキャップの6つ年下の半妹で、1994年の桜花賞を制覇したオグリローマンだけだ。1998年にはダンツシリウスとエイダイクインが上位人気を分け合ったが、いずれも着外。2013年の1番人気クロフネサプライズも4着に敗れている。2011年に牝馬クラシックの大本命と目されていたレーヴディソールは桜花賞に向けて調整中に故障を発症、出走すらできなかった。

 唯一“白い桜”を咲かせたオグリローマンとはどのような馬だったのだろうか?

 1991年生まれのオグリローマンは2歳時に笠松・鷲見昌勇厩舎に所属した後、94年初めに中央入りする。受け入れたのは兄オグリキャップもお世話になった栗東の瀬戸口勉厩舎だった。

 地方では7戦6勝2着1回の好成績を残したが、気性的に敏感で臆病だった彼女は中央初戦のエルフィンSで、初芝だったことも影響してかシンガリ負けを喫してしまう。だが、次走のG3チューリップ賞(この年は中京芝1700メートルで施行)で見事な快走を見せる。直線が短く、前有利の当時の中京コースで後方から追い込み、メンバー随一の末脚で2着。勝ち星こそ挙げられなかったが、豪脚を繰り出せるということを証明した彼女は、桜花賞へと勇躍駒を進めた。

 本番でのパートナーは、1990年の有馬記念で兄の花道を共に飾った武豊。枠は1枠1番だった。94年当時の阪神千六コースにおける絶好枠と言えたが、他の馬を異常に怖がる彼女の気性からすれば悪条件でもあった。瀬戸口師から乗り方を一任された武豊は一計を案じた。スタートからしばらくは最内枠を利して先行する。やがて勝負所で下げて馬群の外へと持ち出し、末脚を爆発させる…そんな作戦を思い描いた。

 1994年4月10日、桜花賞当日。3番人気の支持を受けたオグリローマンと武豊は、スタートを無難に決めて事前に練っていた作戦を実行に移した。馬群を先導するスリーコースは緩みのないペースを刻む。早々に動いたのは1番人気のローブモンタント。一方のオグリローマンはユタカの策に従い直線で外に持ち出した。

 先行馬をかわし切り、ローブモンタントが直線半ばで先頭に立つ。本命馬が栄冠を手にしようとした矢先、内ラチ沿いから不意に顔を出す12番人気の芦毛馬ツィンクルブライド、さらに外からやってきたオグリローマン。最後は内外2頭の勝負となり、外のオグリローマンに鼻差軍配が上がった。史上初のマル地の桜花賞馬誕生。そして“白い桜”の見事な二輪咲きだった。

 94年のメンバー中、芦毛の馬は上位2頭だけ。そして今年の桜花賞に出走する芦毛馬も2頭のみである。アドマイヤミヤビとアエロリットのクイーンC連対組がそれだ。人気を集めそうなのは前者だが、ここはひとつ後者の走りに注目してみたい。アエロリットの菊沢隆徳調教師は騎手時代を通じて初の中央G1制覇が懸かり、鞍上の横山典弘は勝てば八大競走完全制覇となる。菊沢師と言えば、かつてエイダイクインで2番人気になるもレース中の骨折もあって獲り逃したという経緯がある。この“義兄弟タッグ“が23年ぶりの芦毛馬Vを決められるかどうかに注目したい。

(文中の馬齢表記は新表記で統一)

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