【有馬記念】ブラック“角のにらみ”予定5秒遅れも鞍上は泰然
2017年12月21日 05:30
競馬
結局、もたつく僚馬に合わせたまま、スピードに乗り切らずフィニッシュ。外から1馬身先着したものの、全体時計の86秒1(ラスト1F12秒4)は予定より5秒ほど遅かった。しかし、ざわつく周囲とは対照的だったのが稽古役の黒岩だ。「もう馬の雰囲気を重視でいい。時計はそこまでだけど、最後は反応もしてくれた」。13日が6F78秒6〜1F12秒2の猛時計。「先週にビシッとやって馬は仕上がっているんで。本当にいい雰囲気ですね」。
この中間、呪縛のように付きまとったのが春の宝塚記念だ。G1・2連勝で迎え、1・4倍の1番人気に推された大一番で9着に惨敗。辻田厩務員は「レース前は急に暴れたりして落ち着きがなかった。馬がしんどいのかなと感じていた」と当時を振り返る。いかに丈夫な同馬でも、シーズン3戦のG1を戦い終える難しさを痛感した。
今秋は北島三郎オーナーの悲願・有馬記念までを戦い抜くプランを立てた。春は天皇賞(3本)、宝塚記念(6本)で計9本の追い切りを行ったが、今回はジャパンC(2本)、有馬記念(現在4本)で計6本に軽減。同厩務員は「やっぱり宝塚記念は教訓になっている。ジャパンCは控えた感じで体つきにも余裕があった。3戦目にピークをという意識」と説明。G1・3戦目を目前にし、その成果は常に寄り添う愛馬から伝わっている。「今は凄く落ち着いていて(春とは)全く違う。昨年の有馬と比べても状態は良いです」。
追い切り後、馬房には普段と変わらず、こちらにお尻を向けてたたずむブラックが。「これが見慣れた光景です。本当にいつも通り」。想定外の想定内。予定を外れた“ソフト追い切り”も、プランの本流からはそれていない。自然体で迎えるラストラン。雑草はもう、踏みつけなくても強い。