【桜花賞】アーモンド100点!名画ほうふつ“名牝の瞳”
2018年04月03日 05:30
競馬
「アーモンドアイ」とは字面通りアーモンドのように切れ長で中心がふっくらした眼力のある瞳。女優で言えば綾瀬はるか、黒木メイサのような目です。美人の条件でしょうか。この3歳牝馬は美しい瞳をスタッブスが描いた名馬のように遠くへ向けています。引き手を持つ前方のスタッフでもなく、真横からレンズを向けるカメラマンでもない、どこか“かなた”を静かに見据えながらたたずんでいる。目線に合わせて両耳を奇麗にそろえています。G1馬体診断を2年半続けていますが、こんな瞳に触れたのは初めて。目は心の窓といいます。心の余裕、穏やかさを端的に示した目。いや、それ以上に人知を超えた何か、底知れないスケールのようなものを伝えているのかもしれません。
馬体で最も際立つのは牝馬離れした胸の深さです。スマートレイアーも深い胸を持った牝馬ですが、こちらも負けていない。大きな肺や心臓を収容する大きな胸です。適度なボリュームのある首差し、形と角度の良いトモ(後肢)。素晴らしい体つきです。一点だけ気になるのは右飛節から下の部分。窮屈な形状に映りますが、才能にあふれた上体を前にすれば、大した問題ではないでしょう。
4戦全勝ラッキーライラックが不動のヒロインを務める今回の桜花賞。無敗ロードに立ちはだかるライバルがいるとすれば…。目は口ほどに物を言う。英国の名画のように遠くを見据えた聡明な瞳。希代の名牝の相かもしれません。(NHK解説者)
◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の73歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。