【フローラS】ゼノビア 女王の風格 阪神JFから一変
2019年04月17日 05:30
競馬
1月から厩舎で調教を重ねながら、始動予定のアネモネS、フラワーCとも自重。機が熟すまで辛抱強く待ち続けて本来の輝きを取り戻した。「それまでオフがなったのでダメージが残っていましたが、ここまで待って正解。休み明けでもボケる馬じゃないし、気性的にスイッチを上手に入れられます」
ゼノビアとは古代ローマ帝国に挑んだシリアの都市国家パルミラの女王。「ゼノビアの美貌はクレオパトラにも劣らず、貞節と勇気ははるかに勝った」。英国の歴史家エドワード・ギボンがこう書き残したゼノビアから命名された牝馬も2歳デビュー当初から女王の香気を放ってきた。「先生、この馬でデカいレースを獲ろう」。ゼノビアの馬上から松岡が青木師に声をかけたのは昨春。稽古駆けする古馬を子供扱いにした。クローバー賞ではライバルが耳を絞ってラストスパートに入るなか、リラックスするように耳を前方へ立てて3馬身差の楽勝。「初勝利の時も耳を立てながら3馬身突き放したんです」と師も驚きの声を上げた。アルテミスSは8枠(14番)から先行勢が失速する流れを自ら動いて小差4着。持久力は直線の長い東京コースで強みとなる。
「(うるさくなりがちな)全休日明けの調教前でもこんなに落ち着いて立てるなんて…」と再び驚きの声を上げた師。黄金色に染まる栗毛の凜(りん)とした立ち姿に漂うのは女王の風格だ。