四位、無観客の引退式「幸せな騎手人生」 最終日の通算1586勝目
2020年03月01日 05:30
競馬
「デビュー当初はここまで長くジョッキーを続けられると思っていなかった。ダービーを2つも勝たせてもらったし、幸せな騎手人生でした」
ラストデーはまさに“四位劇場”。3Rをハンメルフェストで勝利して通算1586勝目。ゴールの瞬間、スタンドは無人なのに小さな歓声が響いた。「“ワーッ”という声が聞こえてきて…。なんかアットホームな感じだったよね」と、騎手仲間の声援が耳に届いて喜んだ。
ところが5Rナリタアレスでは、直線で内側に斜行し騎乗停止処分。今日から調教師になるため、この騎乗停止(発表は14~21日)に実効力は伴わない。
引退セレモニーでターフビジョンに流れる栄光の足跡。騎手仲間によって5度、宙に舞った四位はすっかり晴れやかな顔だった。
「自分の中では2月29日が区切り。3月1日からトレーナーとして立場が変わる。というか、今夜のサウジアラビアのレースを見る目がそうかな。また、これから忙しくなる」
07年ウオッカ、08年ディープスカイでダービーを連覇。騎手としての夢をかなえ、続く夢の一つに「ダービートレーナー」があるのは当然だ。
▼武豊 四位がまだ騎手見習の時「こんなに奇麗なフォームで追えるんだ」と驚かされたことを覚えている。その後、ジョッキーとして超一流の活躍をしたし、最初に感じた僕の目に狂いはなかったですね(笑い)。後輩らは四位を面倒見のいい兄貴分、と接しているけど、年上の僕からすると彼はライバル。馬への接し方に独特な感性があるので、いい調教師になると思いますよ。
▼横山典 残念。本物のジョッキーがやめるのはつらい。思い出がたくさんあり過ぎるし、まだ実感が湧かない。それでも今後も同じ職場にいるわけだから、また頑張ります。
▼福永(日本騎手クラブ副会長として花束贈呈)特別な先輩ですからね。デビュー前から一番、可愛がってもらいましたし、公私ともにお世話になりました。僕が知る限り、最高のホースマンだと思います。
◆四位 洋文(しい・ひろふみ)1972年(昭47)11月30日生まれ、鹿児島県出身の47歳。91年に騎手デビュー。4年目の94年4歳牝馬特別(ゴールデンジャック)で重賞初勝利。JRA通算1万3919戦1586勝(重賞76勝)。JRA・G1は15勝。07年ウオッカ、08年ディープスカイで日本ダービーを連覇。