【大阪杯】ミルコ ライラックV!コロナ禍のイタリアに世界に届け「家族、友達も心配。何とか頑張って」

2020年04月06日 05:30

競馬

【大阪杯】ミルコ ライラックV!コロナ禍のイタリアに世界に届け「家族、友達も心配。何とか頑張って」
ラッキーライラックで大阪杯を制し、ポーズを決めるデムーロ(撮影・北條 貴史) Photo By スポニチ
 牝馬の時代が到来だ。古馬中距離G1「第64回大阪杯」が5日、無観客の阪神競馬場で行われ、2番人気のラッキーライラックが好位から抜け出し、昨年エリザベス女王杯以来のG1・3勝目を挙げた。鞍上のミルコ・デムーロ(41)は新型コロナウイルスに苦しむ母国イタリア、そして世界への思いを伝えた。2着も牝馬クロノジェネシスで、2週連続、牡牝混合G1ではグレード制導入後8回目の牝馬ワンツー決着となった。 【レース結果
 世界にエールを届けるVだった。先頭でゴールを駆け抜けたミルコ・デムーロとラッキーライラックはレース後、すぐには検量室に戻らず、待ち構えるテレビカメラの前で両手を突き上げ、天を仰いだ。無観客のスタンドに当然、ファンはいない。画面越しに見守ってくれたファンへ感謝、そして世界の人々のことを思い、祈った。

 「コロナウイルスでみんなしんどいけど、皆さん一生懸命、頑張りましょう。競馬をやるのも大変なことだけど、テレビの前で応援してくれる人、ありがとうございます」

 完璧なレース運びだった。好スタートを決め、先頭に立つ勢い。逃げたダノンキングリーを先に行かせ、好位のインで流れに乗った。「スタートもうまくて集中して走っていた。3、4コーナーではハミを取って抜群の手応えだったね」。

 残り200メートルで先行した2頭の間に飛び込むと、グイグイ伸びて差し切った。思わず残り30メートルでガッツポーズが出たのはご愛嬌(あいきょう)。「いつも通り、少し早かったね(笑い)。無観客は凄く寂しい。でも本当にG1を勝てて、とってもうれしい」

 大阪杯は2年前のスワーヴリチャードに続くV。自身のJRA・G1制覇は昨年のオークス(ラヴズオンリーユー)以来31回目となった。15年にJRA通年免許を取得。以降はトップジョッキーとしての地位を確立したが、昨秋はG1戦線で苦戦。今年からは栗東から美浦へ拠点を移し、心機一転スタートを切った。

 11年、東日本大震災直後のドバイワールドカップをヴィクトワールピサで勝った鞍上は、日の丸を掲げて涙を流した。苦しむ日本に希望の勝利を届けてくれた。現在は母国イタリアのコロナウイルス感染者数が、日本以上に増え続けている状況。「イタリアは一番しんどいと思う。家族、友達も心配している。何とか頑張ってほしい」。再び、自らの勝利で示した希望のメッセージ。日本だけでなく母国、そして世界に届いただろう。

 ◆ラッキーライラック 父オルフェーヴル 母ライラックスアンドレース(母の父フラワーアレイ)牝5歳 栗東・松永幹厩舎所属 馬主・㈲サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績15戦6勝 総獲得賞金6億2726万4700円(うち海外6174万1700円)。

 ▽11年ドバイワールドカップ 3月26日(日本時間27日未明)、M・デムーロはヴィクトワールピサとコンビを組み日本馬として初優勝。2着にもトランセンドが入り、日本馬のワンツー決着。競馬ファンだけではなく、日本を元気づける歴史的快挙を成し遂げた。ゴール後に派手なガッツポーズを決めたM・デムーロは「信じられない。直線が凄く長く感じた。日本を愛してます」。そう言うと、勝負服の右袖につけられた喪章にそっと手をやった。

 ≪母国でもドバイでも米国でも相次ぐ競馬休止の中≫新型コロナウイルスは海外競馬にも多大な影響を与えている。先月28日に予定されていたドバイ国際諸競走が開催中止。米国3冠初戦のケンタッキーダービーは予定されていた5月2日から9月5日に延期となった。ミルコの母国イタリアをはじめ競馬先進国とされている欧州でも軒並み休止状態。現在、日本以外で競馬が行われている主な国は香港、ダノンプレミアムがG1クイーンエリザベスS(11日)に出走を予定しているオーストラリアぐらいだ。

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