「圧倒的1番人気」が勝つとは限らない
2020年06月05日 05:30
競馬
直線半ばではニッポーテイオー悲願のG1制覇!!と思えたが、ただ1頭、大外から物凄い脚で追い込む馬がいた。3番人気のフレッシュボイスだ。前年の皐月賞2着馬である同馬が、結果、差し切り勝ち。初のG1制覇を飾った。
ニッポーテイオーに騎乗したのは“剛腕”の愛称で一時代を築いた郷原洋行騎手(当時)。後に話を伺うと次のように答えた。
「東京のマイルで逃げ切るのは難しいと言われたけど、この時は下手に抑えたのがかえって良くなかった。もっと行ってしまった方が良かったと思いました」
一方、勝ち馬に乗っていたのはこれもまたリーディングを獲るなどトップを極めた柴田政人騎手(当時)。後に調教師になった時、述懐してもらうと言った。
「テン乗りだったけど末を生かすタイプなのは分かっていました。緩い馬場で最内1番枠だったので、スタートであえて下げ、ロスは承知で大外へ出したら凄い脚を使ってくれました」
あれから33年。今年の安田記念はアーモンドアイが中心になりそうだ。手綱を取るC・ルメール騎手についてはこの年明けに他界した郷原氏もすでに調教師を引退した柴田氏も異口同音に「素晴らしい技術の持ち主」と評していた。しかし、ライバル勢も先週ダービー2勝目を挙げた福永祐一騎手ら多士済々。時代は流れたが名勝負は繰り返されることを期待したい。(フリーライター)