【フェブラリーS】ソダシ95点 復権「金」ボディー 初ダートは大敗も砂適性感じる馬体
2022年02月15日 05:30
競馬
白銀の被毛に覆われているのは岩肌を思わせるごつごつと隆起した筋肉。高い砂適性を示す筋肉の塊が全身に備わっています。分厚い胸前、せり上がった肩、特に目を見張らされるのが首差しです。1度行きたがれば、とても人の力では抑え込めない強じんな首のパワー。下半身もダート仕様です。特筆すべきは強固な膝(前肢)。かき込むような膝の畳み方をする馬ですが、下半身のつくりがそんなダート戦に合った走法を生み出しています。NHKマイルCとジャパンCダート(現チャンピオンズC)を制した父クロフネの血統を体現しています。白銀と同系色の覆面の間からのぞくのは獲物を追うような鋭い目。強い眼光を放っています。目は心を映す鏡。敗戦の精神的なダメージも残っていない。前向きな心持ちを映し出しています。
勝因のない勝利はあっても、敗因のない敗北はない…。「銀河英雄伝説」で主人公ラインハルト皇帝を支えたロイエンタール提督の言葉です。チャンピオンズCの敗北にも敗因はある。前半から行きたがったことがその一つでしょう。前向きな気性が悪い方に出てしまった。だが、マイル戦に替われば流れが速くなる。馬群の壁をつくれば折り合えるはずです。しかも、東京ダート1600メートル戦は発走地点から芝が最内で97メートルも続く特殊なコースレイアウト。芝で実績を上げてきたソダシなら労せずスピードに乗っていけます。冬季五輪の花形競技スキージャンプのスタートゲートから踏み切り台まで100メートル前後の助走路(アプローチ)を滑るように…。
3歳春の時点で完成度が高かった馬体。古馬になっての成長は感じられませんが、休み明けとは思えないほど良く仕上がっています。引き締まった腹下にのぞく冬毛もこの季節の牝馬だけに問題ありません。1度の敗戦は1度の勝利によって償えば良い…。前走の敗戦を償える馬体と舞台です。(NHK解説者)
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の77歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。