【宝塚記念】エフフォーリア 絶対王者復活見えた!効いたブリンカーの魔法、軽快3頭併走
2022年06月23日 05:30
競馬
「やっとエフフォーリアらしさが見えました。物足りなかった1週前とは明らかに違います。馬のうなり方が一変して、久々に4角でしっかり(手綱を)抱えて回って来られました」。主戦・横山武も納得顔で引き揚げてくる。手綱を押しても反応が鈍く、首をひねった1週前追い切りとは別馬のような走り。左右の視界をさえぎり前方に馬の気持ちを集中させるブリンカーが魔法の馬具のような効果をもたらした。
「3歳のうちは一生懸命走る馬でもいずれ気持ちが入らなくなる。その時にどう対処するか…。引退前に親分(藤沢和雄元調教師)からそんな話を聞かされた」と鹿戸師は明かす。英国流ブリンカー使用法でタイキブリザードなど管理馬の集中力を引き出したレジェンドの教え。矯正用馬具着用は大阪杯直後から鹿戸師の胸の内にあった。
1度の敗戦には10の敗因があるという。これも親分の教え。大阪杯9着の敗因について鹿戸師は「初の関西遠征、初めてのハイペース、馬体にも少し余裕があった」と語るが、ゲート内でのトラブルも大きな敗因だ。左右の枠にはアカイイトとウインマリリン。デビュー以来初めて牝馬に挟まれて興奮した4歳牡馬は鳴きながらゲートの前扉に突進して頭をぶつけた。額に傷腫れができたほどのアクシデント。軽い脳振とうを起こしたか、異性に気を取られたか。ともあれ、行きっぷりの悪さは集中力を欠いたせいだった。
チャンピオンホースの失われた集中力を呼び戻したブリンカー。「一番強い馬だと信じている。結果にこだわりたい」。鹿戸師は魔法をかけられたような前進気勢に王者復活を確信した。