【スプリンターズS】タイセイビジョン95点 黄金色に輝く栗毛、体調の良さ示す毛ヅヤ
2022年09月27日 05:30
競馬
スプリンターズSで被毛に最も光沢があるのはタイセイビジョン。栗毛が初秋の少し優しくなった日差しを浴びて、栗の甘露煮みたいに黄金色に輝いています。栗の甘露煮はクチナシで染めて光沢を出しますが、被毛の輝きはブラシを使っても出せない。新陳代謝が活性化した時、皮膚の内側からにじみ出るように光沢を放つのです。もともと見栄えする明るい栗毛とはいえ、これほどの毛ヅヤはなかった。よほど体調がいいのでしょう。
毛ヅヤに比べて馬体は470キロそこそこのさほど迫力を感じさせないつくり。馬格や筋肉量はナランフレグやヴェントヴォーチェに及びませんが、筋肉の質が高い。筋繊維の一本一本が強いのでしょう。
立ち姿にはスプリンターの前向きな気性が表れています。頭を起こし、胸を張り出しながら立っている。顔を見れば、強い目力、力強く立てた耳、大きく開いた鼻こう…。闘争心がうかがえます。それでいて、尾には力みがない。秋風に尾の先を心地良さそうになびかせています。細くなった体を力ませていた昨年のスプリンターズS時(12着)とは雲泥の差です。天高く馬肥ゆる5歳秋を迎えました。(NHK解説者)
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の78歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。