【スプリンターズS】丹内 36歳で覚醒!メイショウミモザで初G1制覇へ「本当に充実してる」
2022年09月30日 05:20
競馬
勢いの起点は北海道ではなく1月にあった。「年明けの小倉から良かった。春の福島でも初めて開催リーディング(7勝)を獲れた」。小倉、福島合わせて18勝。勝率11・9%は立派だ。丹内自身の生涯勝率の3倍近い。いったい丹内に何が起きているのか。「何かを変えてはいないが、競馬が終われば食べたいものを食べ、オンとオフをはっきりさせている。これがいいのかな」(丹内)。競馬にオフシーズンはないが気持ちのオフをつくることはできる。36歳を迎えないと、たどりつけなかった境地なのだろう。
後輩からも刺激を受けている。9月11日の中山。ルーキー水沼元輝(20)がJRA初勝利を挙げた。水沼は競馬学校を留年。落ち込む若者にまめに声をかけ、支えたのが丹内だった。水沼は言う。「丹内さんと同じような温かい心を持った人になりたい」。ルーキーの動向を丹内も当然、気にかけている。「(勝って)良かったよね。目標の騎手にされているし、それに恥じないように頑張らないと」。いい背中を後輩に見せ続けたい。
心身とも充実。その勢いをG1にぶつける。相棒は前走に続いてタッグを組むメイショウミモザ。母メイショウベルーガは重賞2勝。期待の良血だ。「前走(キーンランドC12着)は外に張られて何もできなかった。(1月の)小倉で勝った時(巌流島S)のイメージが凄くあるし、あの競馬を考えればチャンスはあると思う」と色気たっぷりだ。
いつも以上に頑張る理由もある。「ずっと北海道で一緒だった(池添)兼雄先生も来年で定年。頑張らないと」。お世話になった師へ、最高の贈りものを。そして「あとは見えないパワーがあるかも…」と自身も驚く勢いに期待した。風は丹内に吹いている。
◇丹内 祐次(たんない・ゆうじ)1985年(昭60)11月5日生まれ、北海道函館市出身の36歳。函館競馬場の近くで生まれ育ち、騎手を志す。04年デビュー。同年4月10日福島2R(スピードタイガー)で初勝利。JRA通算9694戦416勝。重賞は今年のエルムS(フルデプスリーダー)など5勝。F1が大好きでレース観戦はもちろん、ゲームにもハマっている。1メートル65、47キロ。血液型O。