「アントラーズトージ」スタジアムに併設も、一歩入れば空気一変

2019年06月18日 11:45

サッカー

「アントラーズトージ」スタジアムに併設も、一歩入れば空気一変
オープンしたミネラル湯治施設「アントラーズトージ」(C)KASHIMA ANTLERS Photo By 提供写真
 最近、耳にする「整った」。知ったのはサウナについての記事だった。それをサウナと違う方法で直に感じた。室内一面のミスト、敷き詰められた薬石、ジワッと芯に入ってくる熱。時間は経ったというのに不快とはほど遠い汗が額に滲み、心地良さとともに東京行きのバスに揺られた。
 茨城県立カシマサッカースタジアム併設のカシマサッカーミュージアムが9日、リニューアルオープンした。同時にカシマウェルネスプラザ内にミネラル湯治施設「アントラーズトージ」が開館。どちらも興味をそそられる施設で、幸運にも体験する機会を得た。

 全国に湯治施設を展開する「Le Furo」が協力したアントラーズトージ。利用方法は実に簡単だ。受付の際にロッカーの鍵やバスタオル、フェイスタオルを受け取る。初回利用者は同意書とカウンセリングシートを記入する。利用は16歳以上で、1回90分。それらを済ませると、真新しい入り口と暖簾(のれん)が待ち構えている。

 施設内に一歩でも踏み入れれば、スタジアムに併設されているはずなのに空気感は一変する。サッカーを離れた非日常空間。たたずまいは旅館か。暖かみがある色彩で統一され、視覚でもリラックスを誘う。渡された湯治着に着替えて、いざ入浴。と言っても、湯には浸からない。天然鉱石の上に横たわり(または座り)、40度の室内でミネラルを含むミストを全身に浴びる。言わば、湯のない温泉だ。湯治場に続くドアを開けると、再び世界は一変する。ミストが充満して目の前が見えず、一瞬、驚きの声が漏れそうになる。慣れるまでは足下を凝視しながら進むしかない。

 湯治場内には女性専用スペースも備えられ、最大25人が入浴可能。頼りない視界とともに、自分が選んだ番号を探す。見つけた。しかし、薬石に踏み出す一歩目に少しの勇気が必要だった。横たわるのだから、高温すぎることはないはず。だが、「想像以上の熱を持っているのではないか……」という考えがよぎる。そもそも銭湯や温泉に行っても湯に体を沈めるのがメインでサウナにはほとんど入らない。岩盤浴など見向きもしない。経験則が全く通じず、えいや!と意を決して踏み出した(もちろん杞憂に終わった)。

 説明書きによれば1セット10分で2~3回繰り返すのが楽しむコツのようだ。自分の場合はうつぶせから始め、体の芯が温まったところで仰向けになり堪能した。セット間の休憩について訊くと、「体が冷め切らないように」とのこと。今回は勧められるまま、休む時間を10分に設定した。ちなみにクールダウン中には多量のミネラル水を摂取してほしいと言われた。体に足りない成分によって、味が変わるから不思議だ。湯治場でミストにまみれながら汗を流し、休憩中に水分を補給すると、当初は酸っぱかったものが、徐々に薄れてくる。「効果が出ている証拠」らしい。

 ポーッとする。だが、湯あたりではないし、脱水症状でもない。居心地良いふわふわ感。3セット終えて座っていると、自然と口元が緩み、充実感に包まれる。初の湯治体験は「また来たい」と思わせるポジティブな意識とともに終了した。今度、銭湯や温泉に行ったらサウナを楽しむのもいいかもしれない。食わず嫌いせずに、岩盤浴に挑戦してみてもいいかもしれない。そして、カシマスタジアム行きのバスに揺られてミストにまみれようと心に決めた。

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