敗れた高校生の涙が美しい理由 小嶺忠敏さんが教えてくれた
2022年01月10日 16:13
サッカー
プロ野球取材を専門とするためもっぱらテレビ観戦だが、敗れた高校生が流す涙にすぐ反応してしまう。とりわけ敗者の涙は美しい。親への感謝や3年間支え合った仲間や引退する先輩を思いやる言葉が添えられたら嗚咽(おえつ)も出る。
悔し涙ほど心が揺さぶられるのは何故だろう。そんなことを考えていると、1月7日に亡くなった高校サッカーの名将・小嶺忠敏さんとの会話を思い出した。
「ゆとり教育なんでしょうね。幼稚園の徒競走で順位を付けないでしょう。みんなでお手々をつないで同時にゴールって。あれ、大嫌いなんですよね」
当時、小嶺さんは長崎・国見高のサッカー部で総監督を務めていたが、同校の校長という立場もあった。ところが文科省の方針などどこ吹く風だ。
「順位が付くから一生懸命走るんですよ。負けるが嫌だから頑張るんですよ。1番になりたいから努力するんですよ」
その言葉にサッカー指導者として有名になったが、小嶺さんの根底には教育者としての高い理念が流れているのだと知った。
敗者の涙が美しいのは頂点を目指してきた努力、我慢、苦労、そして自分が1番になるんだと思い描いてきた理想が無残に砕け散った瞬間だから。指先が届きかけた夢が消え去った、その刹那(せつな)にこぼれ落ちるものだからだ。
「世界で一番悔しがることが出来たら 世界で一番君は輝いている」
第96回高校サッカー選手権のテーマ曲にもなったLittle Glee Monster「いつかこの涙が」の一節だ。名将の率いるチームでも毎年全国制覇するわけではない。陰で「鬼」と呼ばれるほど厳しい小嶺さんの指導を受けた子どもたちが流した涙は、ただ、もう本当に美しかった。(専門委員)
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