幻のJ初ゴールパフォーマンス「そんなの関係ねえ」逆風はねのけ進んだ槙野智章のサッカー人生

2022年12月26日 14:30

サッカー

幻のJ初ゴールパフォーマンス「そんなの関係ねえ」逆風はねのけ進んだ槙野智章のサッカー人生
広島時代の槙野 Photo By スポニチ
 J1神戸の元日本代表DF槙野智章(35)が、現役引退を表明した。多彩なゴールパフォーマンスなどでJリーグを盛り上げた槙野の原点である広島時代の思い出を、当時取材した記者が振り返る。
 サッカー取材歴はさほど長くないのだが、幸運にもJリーガー槙野智章の節目の4試合に立ち会うことができた。広島でトップに昇格した06年J1最終節清水戦でのデビューと、翌07年J1最終節G大阪戦でMF柏木陽介のCKを頭でたたき込んだ初得点は、広島担当として目撃した。翌年春からサッカー担当を10年以上離れていたが、最近になって現場に戻り、今季J1最終節の神戸―横浜を横浜担当として取材。2月に古巣の浦和戦で決めたJ1最後のゴールは、たまたま仕事外で観戦した。巡り合わせに感謝したい。

 槙野がプロ2年目の07年シーズンは練習場の吉田サッカー公園に取材で通い、スポニチ広島版の若手選手リレーコラム企画に何度か登場してもらった。1年目途中からレギュラーだった同期で親友の柏木にはやや先を越されていたものの、前向きな心境をいつも明るく語ってくれていた。

 コラムの中で槙野は「初ゴールできたら、考えているパフォーマンスはありますよ」と予告した。その言葉どおり、8月のホーム名古屋戦でヘディングからネットを揺らすと、当時ブレークしていたお笑い芸人・小島よしおの「そんなの関係ねえ」のアクションをFW佐藤寿人と並んで披露した(私はそのネタを知らず、後で本人に解説してもらった)。ところがボールは相手選手に当たっており、まさかのオウンゴール判定というオチがついた。

 同年当初はリードした試合の終盤に「クローザー」としての出場が続き、当時の広島カープ選手の名を挙げて「(抑えの)永川さんですね。でも本当は(先発の)黒田さんや大竹さんがいいんですけど」と茶目っ気たっぷりに話していた。正真正銘の初ゴールとなったリーグ最終戦は、チームが下位に沈み派手なパフォーマンスができる状況ではなかったと記憶している。入れ替え戦J2降格が決まったが、すぐに残留を明言。翌年は背番号5を与えられて定位置を不動のものとし、先発完投型の選手になったのは説明不要だろう。

 「調子乗り世代」の愛称が定着した07年のU―20W杯カナダ大会に、髪を真っ赤に染めて臨んだ。同年広島で3バックも組んだMF戸田和幸の02年W杯日韓大会を意識したもの。今年のW杯カタール大会では解説者としてその戸田氏や佐藤氏と同じフィールドに立ち、的確かつ熱い解説で好評を得たのは不思議な感じがする。本紙にも15年前のように、サッカー愛あふれるコラムを寄せてくれた。

 サッカー界を盛り上げたい思いが強く、実直すぎる言動が誤解を招いたり物議を醸すこともあった。そうした話を耳にするたび、私の頭には「でもそんなの関係ねえ!」とこぶしを振り下ろす槙野の姿がちらついている。(06~08年広島担当・矢吹 大祐)

おすすめテーマ

2022年12月26日のニュース

特集

サッカーのランキング

【楽天】オススメアイテム
`; idoc.open(); idoc.write(innerHTML); idoc.close(); });