梅山修氏 J1新潟、確実に磨かれている「認知・判断・実行」のプロセス

2023年10月24日 04:30

サッカー

梅山修氏 J1新潟、確実に磨かれている「認知・判断・実行」のプロセス
21日の鳥栖戦で前半49分にPKを決め祝福される鈴木(右) Photo By スポニチ
【元アルビ・梅山チェック】順位が拮抗(きっこう)する鳥栖をホームに迎えた一戦。前線からのプレス、自陣でのブロック、ボール保持、個々の技術など、高強度でバランスの良い相手に対して新潟がどのように主導権を握るのかが焦点だった。
 一般的に試合の序盤は、前に出てこようとする相手の勢いを折り、敵陣で圧をかけるために、背後のスペースを目がけてロングボールを多用するのが定着してきている。

 そんな中でも新潟のロングボールの使い方には2つの目的があると感じる。一つは一本のパスで背後を取るため。もう一つは相手のDFラインを下げさせた際にできる手前のスペースにくさびを打ち込み、よりゴールに近い位置に攻撃の起点をつくるため。この2点は新潟が常にボールを握りながら試合をコントロールするための下地となる要素だ。

 その視点で言うと、この日は普段にも増してロングボールが多かった。おそらく鳥栖が前線から強度の高い連動したプレスをかけてくることで、自動的に背後のスペースがそもそも存在することをチームで共有していたのだろう。実際に前半15分の新井から高、30分の秋山から松田、さらに45分のPK獲得につながった藤原から松田のパスは、全て自陣からの長いパスによるもの。最近ではボール保持に定評があるチームも、ロングパスを積極的かつ効果的に使うシーンが増えてきていて、新潟もそういう傾向があるのは興味深い。

 一方で得点のわずか1分後の失点は、前半終了直前だったことから避けたかった。クロスからの失点はチームの課題とも言えるが、左からのクロスを舞行龍の背後で合わされたシーンは、そのスペースにいるはずの藤原が戻れなかったわけではない。中央に入っていった相手選手をケアしようと瞬時に決断したため。結果論だが、クロスの3秒前にマークの受け渡しについてコミュニケーションを取っていたらどうだったか。振り返る余地はあるだろう。

 ただ、勝ち切ることはできなかったが、相手を見て、プレーを選択し、自ら決断するという「認知・判断・実行」のプロセスは確実に磨かれていると感じることができる試合だった。(アルティスタ浅間監督)

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