【蹴トピ】「サッカー脳」測定して選手育成&強化 久保所属ソシエダなど運用「NeurOlympics」

2024年03月20日 06:00

サッカー

【蹴トピ】「サッカー脳」測定して選手育成&強化 久保所属ソシエダなど運用「NeurOlympics」
NeurOlympicsに取り組むポーランドのレギア・ワルシャワのU-14、15の選手たち
 近年、欧州サッカーでは「サッカー脳」を測定するプログラムが注目されている。オランダのブレインズファースト社が開発し、同国の強豪PSVアイントホーフェンや久保建英(22)も所属するスペインのレアル・ソシエダードなどが導入し、選手の育成やトレーニングに役立てている。「NeurOlympics」と名付けられ、日本でもJ2徳島が昨年から使用を開始しており、成果が注目される。(大西 純一)
 測定はタブレットなどを使用し、ゲーム感覚で行われる。4つのプログラムを1時間弱で行い、認知、判断、実行のプロセスに関する脳機能を数値化していく。主にユース年代を対象としたテストでタレントの早期発掘が目的となる。

 例えば「コレクト」は記憶力などを測定するもので5×5のマスに丸印が浮かぶ。一瞬で消える印が、どこに出ていたかをクリックしていく。一つでも間違えると終了。それを何度も繰り返し、得点を数値化する。

 「アクティベート」は予測能力を測るもの。左右に横と斜めに弾を発射できるキャノンスイッチがあり、落ちてくる標的をより高い位置で撃ち落とすと高得点が得られる。他にも判断スピードを測定する「コネクト」や「シンクロナイズ」がある。数値は年に数度、測定し、データを蓄積することでより精度が上がっていく。

 現代サッカーは大きく進化している。元ドイツ代表監督のレーウ氏は「フィジカルや技術のパフォーマンスを向上させるのは難しい段階に来ている。速いテンポでスペースが限られる中で、素早く正確な判断を下せることができる“脳力”が必要となる」と話す。技術が高く、フィジカルがあっても素早く正確な判断ができなければ活躍はできない。

 オランダ協会の調査がきっかけとなった。14年のU―17欧州選手権に出場したオランダ代表のうち、20年に欧州5大リーグのクラブに所属している選手はわずか2人だった。フィジカルは数値化できるが、判断力は練習や試合を見て評価するしかなかった。育成年代ではどうしても、フィジカルで評価されることが多い。同協会から依頼されたブレインズファースト社がサッカー脳を数値化するプログラムを開発した。

 既に欧州ではサッカー脳の数値が移籍金にも反映されるほど重要な要素となっている。サッカーのテンポが速くなるほど素早く正確な判断ができる選手が求められる。欧州ではオランダのフェイエノールト、PSVアイントホーフェン、AZアルクマール、スペインのRソシエダード、ドイツのEフランクフルト、ブレーメン、イングランドのサウサンプトンなどが導入、日本でもJ2徳島が契約した。

 他にもオランダ、ドイツ、ベルギーなどのサッカー協会が活用を始めている。若きタレントの発掘だけでなく、選手の特性を生かしたポジションの変更など指導にも役立つという。


 ≪昨季導入J2徳島「既に興味深い数値も」≫ 昨季から導入したJ2徳島の岡田明彦強化本部長は「既に興味深い数字も出ている」と話す。技術やフィジカルの評価が高い選手でも、認知や予測能力の数値が低い場合があり、個別トレーニングで弱点を補うメニューを加えることで成長を促すこともできる。

 逆にフィジカルの評価が低くても、認知や予測能力の数値が高い選手は、将来、伸びる可能性もある。「選手の見方が今までとは変わり、興味深い」と驚きを隠せない。

 既にブレインズファースト社の担当者とも勉強会を行い、将来は欧州5大リーグの選手のデータとも比較しながらトレーニングの指標とするなど新たな活用方法が考えられている。データの蓄積はまだ少ないが、選手育成の考え方も変化していく傾向にある。

 ≪航空管制官養成 ノウハウ生かす≫ ブレインズファースト社は元々、航空管制官の養成プログラムなどを作成しており、そのノウハウを生かしながらサッカー脳の測定に特化したプログラムが「NeurOlympics」と名付けられた。他にも企業用のものなどさまざまなプログラムを開発しているという。

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