美姫が第3の女!?岡崎真氏が占う 真央、鈴木に続く代表争い
2013年12月19日 05:30
フィギュアスケート
残り2枠を争う選手では鈴木が最有力だろう。ファイナル進出こそ逃したがGP2戦で表彰台に立ち、193・75という高得点もマークしている。3―3回転ジャンプやビールマン(軸足でない脚を頭頂部付近に持ち上げる)など、8位入賞したバンクーバー五輪後も着実に進化していることも特筆すべきものだ。連続ジャンプの2発目に3回転を跳ぶためには、最初のジャンプから流れを止めないことや、跳躍の高さ、回転の速さの向上も求められる。つまり難易度は2回転の単純な1・5倍ではなく、2倍以上と言っていい。レイバック(背中を反らす)スピンのレベル4を獲得するために導入したビールマンも高い柔軟性が必要なもので、28歳を迎えた彼女の挑戦する姿勢は素晴らしいと思う。
大混戦が予想されるのは“第3の女”だ。本来なら最上位にいてもおかしくないのは、村上だ。特長はなんといってもスピード感あふれる演技。3―3回転も決まったときは、圧巻という表現が当てはまる。だが、今季は精彩を欠いているのが現状だ。19歳という年齢は女子から女性に変わる時期でもあり、メンタルとフィジカルのバランスを崩している可能性もある。ただし、昨季もGPシリーズでは精彩を欠きながら、全日本選手権で2位に入り、世界選手権も4位入賞という実績がある。GPファイナル進出の可能性がなくなった時点から、必死の調整が続いているだろう。一変は期待できると思う。
今季シニアデビューした宮原も候補の一角だ。5種類のジャンプを苦手なくこなし、3―3回転もある。練習からクリーンな着氷のジャンプも増えており、今まさに伸び盛りなのだろう。スピンやステップも欠点はなく、バランスの良さは秀逸だ。ただし、まだ15歳。表現力などは他の一線級選手と比べて見劣りするのは仕方がない。また、バランスの良さと1メートル43というサイズが、インパクト不足につながっていることは否定できない。
さて、高い注目を集めている安藤だ。9月、ネーベルホルン杯で復帰した際に「体は絞れているし、本気でソチ五輪を狙っているんだ」と実感した。国内2大会では精彩を欠いたが、今月初旬のゴールデンスピンのSP、フリーを見て、再び調子を上げてきていることが確認できた。イタリアに練習拠点を移し、スケートに集中できる環境も整ったのだろう。動きは国内大会とは比べものにならないほどシャープになった。SPでは回転不足、フリーではダウングレードとなったが、連続ジャンプの2発目に3回転をつけ始めており「1点でも多く」という執念も感じられた。
プログラム全体には安藤のカラーが出ているが、まだジャンプやスピンといった要素と要素の間には「息継ぎ」時間があり体力が完全には戻っていないのだろう。絶好調時には3割くらいの力で跳べていたジャンプに7割くらいの力が必要になっており、そのために集中力を高める間を求めているのかもしれない。ただし、ジュニア時代から「やると決めたときにはやる」選手で、相当な勝負根性が必要な代表争いの最後の舞台では力を発揮してくると想定される。「母は強し」を証明する可能性は十分にあるとみている。
▽ソチ五輪への道 男女ともに日本の枠は3。全日本選手権の優勝者は代表決定。2人目はGPファイナル日本人最上位メダリストと全日本の2、3位選手の中から選考。2人目の選考から漏れた選手と、世界ランク日本人上位3人、国際大会のベストスコア日本人上位3人の中から3人目の代表を選考する。
◆岡崎 真(おかざき・まこと)1976年(昭51)5月8日、広島県広島市出身の37歳。福岡大卒。9歳からフィギュアスケートを始め、全日本選手権男子シングルで3位に3度輝く。01年ユニバーシアード銅メダル。GPシリーズにも7シーズンで計8度出場した。01~02年を最後に引退。現在は福岡・飯塚アイスパレスでプロコーチとして指導。国内に6人しかいないISU(国際スケート連盟)テクニカルスペシャリストとしての知識と経験を生かし、高橋大輔や浅田真央らの演技のチェックにも尽力している。
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