本郷 初出場でSP自己ベスト、5位発進「成長できたかな」
2014年12月13日 05:30
フィギュアスケート
女子ショートプログラム(SP)で初出場の本郷理華(18=愛知みずほ大瑞穂高)は61・10点で自己ベストを叩き出し、5位発進した。欠場者が出たことで巡ってきた繰り上げ出場。大舞台でも物おじすることなく及第点の滑りを見せた。エリザベータ・トゥクタミシェワ(17)が67・52点で首位、ユリア・リプニツカヤ(16)が66・24点で2位につけるなどロシア勢が4位までを独占した。
演技直前の6分間練習、初出場の18歳は緊張に襲われた。無理もない。GPシリーズの上位6選手による大舞台。しかし、1番滑走のSPまでのわずかな時間で「気持ちの整理ができた」という。「出られるだけでうれしい。失うものはない。思い切りやるだけ」。自らの立場を冷静に見つめ直して、不安を振り切った。
迷いが消えた滑りは度胸満点だった。女子選手としては上背のある1メートル66。流れのある2連続3回転トーループに始まり、長い手足を生かした滑りやスピンで観客の拍手を誘った。納得の演技を終えて見せた笑顔は、場内に得点が映し出されるとさらに輝いた。自己ベストを1・25点塗り替え「目標の60点台を出せてうれしい」と頬を紅潮させた。
仙台市出身でフィギュアのコーチの母と英国人男性の間に生まれた。荒川静香や鈴木明子を育てた長久保裕コーチを追って9歳の時に名古屋に移り、5歳から師事する恩師と共同生活を送る。今季からGPにデビューし、第4戦のロシア杯でSP、フリーともに自己ベストをマークして初優勝を飾った。
日本勢はファイナル2連覇中だった浅田が休養に入り、過去4回出場の鈴木明子は引退。実に14季ぶりに日本勢のファイナル出場者がゼロになるところだった。しかし、グレーシー・ゴールド(米国)の骨折により、GPポイント7位で補欠1番手の本郷に出場権が舞い込んだ。日本スケート連盟の小林芳子強化部長は「本郷はもらったチャンスをきっちり生かしてきた」と評価した。
一躍注目を浴びる“シンデレラガール”は「ロシア杯から成長できたかな」とさらに自信を深めた様子。上位を目指す13日のフリーのプログラムはオペラ「カルメン」がテーマ。「(名作の舞台の)スペインで踊れることを感謝したい」と不思議な縁も感じている。大舞台での一分一秒が貴重な経験となる。
◆本郷 理華(ほんごう・りか)1996年(平8)9月6日生まれ、宮城県仙台市出身の18歳。小学校時代に愛知に移り、現在は愛知みずほ大瑞穂高。昨季は全日本ジュニア選手権優勝、全日本選手権6位、世界ジュニア選手権8位。今季からGPシリーズにデビューしスケートカナダで5位、ロシア杯では自己ベストの合計178.00点で初優勝。1メートル66。
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