真央 笑顔で「ただいまでーす」533日ぶり復帰戦で完璧3A
2015年10月04日 05:30
フィギュアスケート
1年の休養を経た浅田真央(25=中京大)が大技とともに、勝負のリンクに帰ってきた。フリーのみで行われた大会で、14年3月の世界選手権以来、553日ぶりに競技会に復帰した浅田は、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めて女子1位の141・70点をマーク。得点は非公認だが、14年2月のソチ五輪の自己ベスト、142・71点に匹敵するハイスコアで、上々の再スタートを切った。日本、北米、欧州の団体戦は日本が合計607・62点で2年ぶりに優勝した。
両手を広げてフィニッシュすると、1万6511人が総立ちだ。大観衆が声援に込めた「おかえり」の思いに、浅田が応えた。場内インタビューの第一声は「ただいまで~す」。553日ぶりの競技会で、昨季世界女王・トゥクタミシェワ、14年ソチ五輪金メダルのソトニコワを圧倒。自己ベストに匹敵するハイスコアには、さまざまな感情が交錯した。
「(14年の)世界選手権のレベルで最後まで滑れたことがうれしくて、ホッとして、自分に“ありがとう”という気持ちでした」
着物をイメージした衣装に身を包み、切ない表情でスタートしたフリー「蝶々夫人」はソチ五輪、世界選手権と同じジャンプ構成。「楽に跳べるようになった」と言うトリプルアクセルを冒頭に成功。3―3回転、3―2―2回転の連続ジャンプでミスが出たが、佐藤信夫コーチ(73)が「今までと比べて感情が出てくるようになった」と評した表現力でも魅了した。
「復帰するのに少し不安があったが、自分の力を出してみんなと戦えると分かった」
1年の休養を「戻ってくるまでの大切なパワーチャージの時間」と言う。現役続行か引退か。日替わり、週替わりで気持ちは揺れたが、勝負のリンクに戻ることを決断。5月に練習を再開すると佐藤コーチの指示を待つよりも、自分で考えて滑るようになった。「かなり彼女の自由にさせてきた。25歳になったそうですから」と同コーチは明かす。
今夏、浅田は13~14年シーズンから使い続けてきたスケート靴を替えた。これまでシーズン終了時に靴を替えてきたが、休養中の昨季はアイスショー中心で練習量も減ったため、約2年ぶりに新調。「足にマメができちゃったんですよ~」と話す表情は明るかった。足に走る痛みですら、復帰への着実なステップと思えば喜びの材料だった。
復帰戦で圧倒的な存在感、変わらぬ強さを氷上に刻んだが、まだ序章にすぎない。「(自己採点は)55点。もっともっと上を目指せる」。11月はGPシリーズ・中国杯、NHK杯に出場。「試合感覚もしっかり入ってきた。目の前の試合で、できることをやっていきたい」。浅田の輝きは、ここからさらに増していく。
▽ジャパン・オープン 国際連盟(ISU)公認の国際大会。97~01年はプロ、アマ混成の個人戦で行われた。再開した06年に日本、欧州、北米が争う団体戦になり、各チーム男女2人ずつがフリーを滑る。
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