新たなタレント発掘へ 「鈴木プラン」の期待と課題
2016年10月09日 09:00
スポーツ
他競技への転向自体は過去にも話題になったことがある。96年には陸上男子やり投げの金メダリスト、ヤン・ゼレズニー(チェコ)がMLBアトランタ・ブレーブスのトライアウトを受け、遠投で135メートル以上投げてメジャー関係者の度肝を抜いた。欧州出身のゼレズニーは野球の知識がまったくなかったので結局選手として採用されることはなかったが、それに刺激を受けて日本国内でも他競技への転向論議が盛んになった。といっても組織的に行われたわけではなく、大相撲の貴乃花に陸上の砲丸投げをやらせたら金メダルを獲れるのではないかとか、プロ野球の二軍にいる俊足の選手に本格的にトレーニングを施せば100メートルで9秒台が出せるのではないかと、一部の関係者が勝手に構想を抱いただけで、実現には至らなかった。すでに活躍しているプロの選手を他の競技に引き抜くことは難しいが、ジュニア世代のうちに転向を促すことは十分可能だろう。
俊足強肩の野球選手は陸上の短距離や投てきにも向いているし、逆に陸上の跳躍選手はたとえばバレーボールなどでも力を発揮できるかもしれない。転向の組み合わせはいくらでも考えられる。問題は、素質を見抜く「スカウト」をどう養成するかだ。「鈴木プラン」では他競技への転向を促すトライアウトを全国で随時実施していくとしているが、有能な「スカウト」なしでは絵に描いた餅になってしまう。各競技団体の強化担当者はもちろん、医科学面など幅広い分野の専門家が参画し、何より選手自身のためにより良い結果を導き出してくれることを期待したい。(編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
おすすめテーマ
2016年10月09日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
ジャズのゴードン・ヘイワード、練習中に左手の指骨折
-
Tウルブス白星も“新人王候補”クリス・ダンは課題残す内容に…
-
上田2連覇、男子は田山V トライアスロン日本選手権
-
平野美宇、みうみま対決制し4強進出 女子W杯
-
紀平、坂本、本田がジュニアGPファイナル進出
-
新たなタレント発掘へ 「鈴木プラン」の期待と課題
-
【岡崎真の目】真央の表現力向上 アイドルから本格女優に成長
-
池江 正月返上で初めての高地トレ「さらに上狙うために」
-
豪栄道、埼玉栄後輩から刺激 10分間“かわいがり”
-
SR渋谷ホーム開幕戦で大勝 青学大体育館が黄色に染まった
-
パナソニック4位浮上 飛び級参加の筑波大・山沢が26得点
-
仏デビューならず…五郎丸は初の登録メンバー入りも出場機会なし
-
みなみ貫禄イーグル アマ2勝目は私が先!奈紗と並んだ暫定4位
-
奈紗 連続V見えた!1差で暫定4位「優勝狙う気持ち強くなった」
-
笠が暫定首位「2週連続でアマがいきそうだけど絶対ダメ」
-
日没サスペンデッドで36ホールに短縮 天気や日没考慮
-
さくら挽回!6位浮上、9差も内容満足 9番から4連続バーディー
-
額賀、16ホールで9バーディー暫定首位 優作兄貴にピタリ
-
ショット絶好調 優作負けられん!「俺より前に出るなって感じで」
-
亀代8アンダー3位も6差 アジアアマ第3日
-
真央 課題見えた2位「余裕ない感じ。ぽろぽろミスがあった」
-
山県、棄権で9秒台来季へ持ち越し 両太腿に張り
-
野獣松本決断 東京も「出場したい」来夏世界選手権は見送り
-
浅見が引退表明 世界選手権連覇も五輪出場叶わず
-
渡嘉敷15点でJX連勝貢献 宮沢、間宮も活躍
-
短水路W杯第6戦 金藤は4位 女子100メートル平泳ぎ
-
鶴竜初土俵で圧倒9戦全勝 九州場所は「優勝しかない」
-
ゴフィンV王手 男子テニス楽天OP
-
難敵上野を攻略 太陽誘電が逆転勝ち