競技施設の早期完成を 選手にとって東京で五輪を開く一番の利点とは
2016年12月14日 09:15
五輪
過去の五輪で毎回開催国のメダルが多いのは強化費の増額などで集中的に選手強化を図るからだが、もう一つ、ホームの利点、つまり競技会場の特徴を知り尽くしているということがある。たとえば今話題になっているバレーボールならコートからスタンドまでの距離、床の滑り具合や照明の位置、明るさ、空調の風向きや強さなど、施設の特徴を事前に徹底的に研究して対策を立てる。以前話を聞いたある女子選手によれば、スタンドの観客がどの季節に何色の服を着て来ることが多いのかまで調べ上げたという。ボールがスタンドの背景色と混ざり合うことで損や得があるのかないのか、そこまで考えなくては世界とは戦えない。これはバレーボールだけでなく卓球やバドミントンなど屋内競技はみんな同じだし、体操のように器具が大切な競技もある。屋外競技も同様で気温や風、湿度の変化や潮の流れなどのデータを蓄積して、それに合わせたトレーニングを取り入れる。これらの情報はその施設で普段から練習をし、何度も試合をして初めて手に入るものであり、海外から来る選手はそうはいかない。これこそがホームで五輪を開く一番の利点なのである。
アスリートファーストと言いながら、競技会場にまつわる話は経費のことばかりで「一日も早く作ってもらわないと何のために日本でやるのかわからない」という選手たちの生の声はあまり届いていない。もちろん金がなければ五輪はできないので経費削減が最優先なのは当然だが、工期を短縮するための新技術や資材もどんどん取り入れてほしい。それこそが技術大国・日本の見せどころではないか。(編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
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