モーグル世界王者・堀島 夏休みの自由研究は「宝物」 宿題が金の土台に
2017年08月09日 10:00
フリースタイルスキー
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モーグルの大会に出た時ちゅうせん会があって、おねえちゃんが1か月けんを当ててくれました(7月15日、原文ママ)
雪上でコブ斜面でのターン技術、エア、タイムの合計点を争うモーグル競技。新しいエアの習得など夏場の練習に助走路からプールに飛び出すウオータージャンプを利用する。堀島は小4の夏に三重県桑名市のウオータージャンプ施設「K―air」に通った。2学年上の姉・有紗さんから譲り受けた1カ月券がきっかけだった。
「バックフリップ(1回宙返り)がやりたくてウオータージャンプに行った」という堀島は、わずか2日目にしてその目標を達成。その夏のうちに1回転多い2回宙返りまで成功してしまった。
みんながおどろいていました。「やばいんじゃないの。すごいね。やったじゃん。オリンピックに出れるぞ」といろいろなことをいってくれました(8月21日)
5年生になると「コークスクリュー720」(体の軸を傾けながらの2回転)を習得し、6年生ではさらなる大技にも取り組んでいく。父・行訓さん(56)の協力の下、空中での動きを分解写真にして研究。「飛び出して首を返す」「1回転目で自分の飛んでいる高さを確認」などと細かい注意点を書き添えた。小学生とはいえ感性だけではなくいかに意識的に飛んできたかが表れている。
年を追うごとに日々の練習とその感想だけでなく、試合での心境や一緒に練習する大人たちとの交流まで話題は広がっていく。当時の担任教諭は「ジャンプを通していろいろな世界が広がり、たくさんの関わりも宝物になりましたね。行真さんにしか書けない宝物日記ですね」と感想を書いた。
大学生となった堀島は「提出しなきゃいけないものだから、自分の好きなもので出せたら、それはそれでいいのかなと思った」と懐かしそうに語った。三冊の日記には、義務感よりも夏休みのキラキラ感と競技への熱中ぶりがぎゅっと詰まっている。それが金メダル候補の礎になった。堀島は自由研究のために何かを探したり、始めるのではなく、大好きなことを転用した。迷っている君たちにはそれもまた一つの方法。夏休みの宿題がいつか“宝物”になる日も来るかもしれない。
◆堀島 行真(ほりしま・いくま)1997年(平9)12月11日生まれ、岐阜県池田町出身の19歳。両親の影響で1歳からスキーを始める。温知小―池田中―岐阜第一高―中京大。13年2月の猪苗代大会で中学生でW杯デビュー。15〜16年シーズン開幕戦のデュアルで初表彰台となる3位に入り、国際スキー連盟の新人賞にも選ばれる。初出場した今年3月の世界選手権(スペイン・シエラネバダ)で大会史上初のモーグル、デュアル2冠を達成した。1メートル66、68キロ。
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