錦織 今季残り全休 右手首腱部分断裂、選手生活大きな岐路に

2017年08月17日 05:30

テニス

錦織 今季残り全休 右手首腱部分断裂、選手生活大きな岐路に
5月のマドリード・オープンでも右手首を気にしていた錦織。大会途中での棄権となった Photo By ゲッティ=共同
 男子テニス世界ランキング9位の錦織圭(27=日清食品)が今季残り試合の全休を決めた。16日、マネジメント会社が発表した。米シンシナティでの大会に向けた13日の練習中に右手首を痛め、MRI(磁気共鳴画像装置)検査の結果、尺側手根伸筋腱(しゃくそくしゅこんしんきんけん)の部分断裂と診断された。手術はせずに来年の開幕に向けてリハビリを行う予定。不振続きのシーズンは最悪の形で幕を閉じることになった。
 13日の練習中、サーブを打った錦織は手首から「ポン」と音がするのが聞こえたという。痛みに顔をしかめて、すぐに練習を中止。病院に直行してMRI検査を受けた。

 翌日に手首の権威で数多くのメジャーリーガーも診ている医師の診察を受けた。15日にはセカンドオピニオンを求めて別の医師に会い、さらに慎重を期して3人の専門家にMRIの画像を送ってそれぞれに意見を求めた。

 結論は尺側手根伸筋腱の部分断裂。手首の小指側にある腱で、サーブやバックハンドなど手首の曲げ伸ばしをする時に負担がかかる部位だ。右手首は3月のマイアミ・オープン4回戦で痛め、4月のバルセロナ・オープンは欠場。満を持して臨んだ5月のマドリード・オープンで痛みが再発して大会途中での棄権に追い込まれた。シーズンを通しての疲労の蓄積が、いよいよ臨界点に至ったのかもしれない。

 錦織は手術はせず、4〜6週間ギプスで固定して腫れが引くのを待ってから、リハビリを始める。今季最後の4大大会となる28日開幕の全米オープンはもちろん、日本開催となる10月の楽天ジャパン・オープンも出場は難しい。そのため今季の残り試合は全て欠場し、来季開幕を目指して治療に専念する方針を固めた。シーズンを通してツアー優勝がないのは11年以来、6年ぶりだ。

 09年には右肘のケガと手術でシーズンの半分以上を棒に振った錦織だが、今回はそれ以来の長期離脱。当時は世界ランキングが消滅し、一から出直して下部大会からはい上がってきた。今回もランキングの後退は避けられず、14年9月から守り続けてきたトップ10から陥落する。来季を迎える時点でポイントはほぼ半減して1885点。現在のランキングに照らし合わせると20位台まで後退することになる。

 フェデラー(スイス)やナダル(スペイン)らビッグ4の壁を乗り越えられないまま、A・ズベレフのような若い世代も台頭してきた。復帰後もこれまでの位置が保証されているわけではなく、錦織が選手生活の大きな岐路に差し掛かった。

 ▼横浜整形外科医会松宮是哲副会長 尺側手根伸筋腱はテニス選手が一番ケガをしやすい箇所。「ポン」と音がしたというのは気になるが、手術をしないということは損傷か、部分断裂でしょう。ギプスをする期間は普通は3〜4週間。4〜6週間というのはちょっと長い。固定した場所の筋肉が落ちるので、リハビリを経て以前のようなプレーができるまでは3カ月ぐらいかかるのでは。筋肉と腱の違いはあるが、稀勢の里のケガとよく似ている。一般的なテニスプレーヤーならフォームを改善することで再発防止できるが、錦織選手のようなトッププレーヤーならフォームの改善より、これまで以上にストレッチなどのケアをすることが大事になると思います。

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