お台場海浜公園の水質問題 最良の対策は懇切丁寧な説明
2017年10月18日 10:00
トライアスロン
すでに都では水中にポリエステル系合成繊維製のスクリーンを設置し、沖合から流入する糞便性大腸菌などを抑制する対策を取っており、最終的にはこのスクリーンを三重化することで国際競技団体の定める水質基準をクリアできるとしている。実際、同公園での競技でこれまで競技団体や選手から不安の声が上がったことはない。だが、近年の異常気象を考えれば、いつ何時、想定をはるかに超える大雨が降ってもおかしくない。大会が近づけば海外の選手から不安の声が上がる可能性も否定できないだろう。環境問題に対する海外の反応は、日本では考えられないほど大きいのだ。
余計な不安感をあおらないためにも、専門家による懇切丁寧な説明が望まれる。だが、都と組織委の責任者が出席して行われた会見は分かったような分からないようなもどかしい質疑に終始した。競技ができるかどうかの最終的な判断はいつ、どの地点での調査に基づき行われるのか。数値がどの程度まで下がれば実施できるのか、あるいはできないのか。大腸菌以外の菌への対応はどうするのか。いずれも明確な答えはなかった。質問している記者の方もほとんどが水質問題に関しては素人だ。逆に言えば疑問や不安は一般市民に近い。専門の知識を持った人がきちんと科学的に説明してくれれば納得できるのだが、残念ながらそうはならなかった。
豊洲市場問題と同様、この手の話は素人同士が議論をしてもいたずらに不安をあおるだけで何の解決にもならない。時間がたてば不安が増幅するだけだ。専門家がきちんとしたデータの下に「安全宣言」をしてくれればそれで誰もが納得する。大会直前になって今回の問題が再燃することのないよう、都と組織委には早め早めの対応を望みたい。(編集委員)
◆藤山 健二(ふじやま・けんじ)1960年、埼玉県生まれ。早大卒。スポーツ記者歴34年。五輪取材は夏冬合わせて7度、世界陸上やゴルフのマスターズ、全英オープンなど、ほとんどの競技を網羅。ミステリー大好きで、趣味が高じて「富士山の身代金」(95年刊)など自分で執筆も。
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