心が一番。それを思い知られた九州場所
2017年12月05日 09:45
相撲
貴景勝と同じ、埼玉栄高出身の25歳、北勝富士(八角部屋)は、左右のおっつけを評価されて初の技能賞を受賞した。北勝富士は自己最高位の東前頭2枚目だった秋場所、左手首を負傷した影響で12日目に入門以来2度目の負け越しとなった。そんな矢先、埼玉栄高の山田道紀監督から電話をもらったという。そこでかけられた言葉が「誰でもケガをする。ケガをしたときこそ自分の相撲を取るしかない」だった。つらい気持ち理解してくれた恩師の言葉を聞くと、涙が止まらなくなった。北勝富士は山田監督を「心の支え」と言い切る。その恩師に、3場所連続金星、14日目までの優勝争いで恩返しした。
日馬富士が暴行をはたらいたことは許されることではない。だが、日馬富士は弟弟子のことを思うあまり、行き過ぎた行動に至ったとも話している。親を亡くしている2人は「心」が通じ合っていたはずだった。それゆえに「心のすれ違い」が暴行につながってしまったとも言える。
「心技体」という言葉は、「心」が一番最初にある。「技心体」でなく、「体心技」でもないのは、「心」が最も大切だからという人もいる。勝ち名乗りを受けて懸賞を受け取る際には、手刀で「心」の字を描く力士もいる。記者はいつも以上に忙しい場所になったが、「忙」という字は「心(りっしんべん)に亡くす」と書くように、余裕がないままに日々の仕事に追われていた気がする。もっと心の広い人間にならなければ。反省ばかりの今日この頃だ。(佐藤 博之)
◆佐藤 博之(さとう・ひろゆき)1967年、秋田県大曲市(現大仙市)生まれ。千葉大卒。相撲、格闘技、サッカー、ゴルフなどを担当。スポーツの取材・生観戦だけでなく、休日は演劇や音楽などのライブを見に行くことを楽しみにしている。
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