貴親方、2階級降格受け入れ理事解任 辞任打診されるも拒否
2017年12月29日 05:30
相撲
その2時間半前、午前11時から始まった理事会。出席者によると、高野利雄危機管理委員長(名古屋高検検事長)が、傷害事件に関する貴乃花親方への調査結果を報告。巡業部長として報告義務を怠ったことや委員会の聴取に非協力的だったことを指摘したという。理事会では貴乃花親方に辞任の意思を確認。貴乃花親方が「ありません」と返答したため八角理事長が理事解任を提案。貴乃花親方に対し弁明を求めた。しかし、貴乃花親方は「ありません」と異議を唱えなかった。
他の理事からも異論が出なかったことから、当該者の貴乃花親方を除く全会一致で解任を決議。これにより貴乃花親方は巡業部長も解任され、春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)が兼務することになった。役職は理事、副理事に次ぐ役員待遇への2階級降格。協会の処罰としては「解雇」「引退勧告」に次ぐ、3番目に重い「降格」となった。
今回の事件では、加害者側の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)と同じ2階級降格だが、貴乃花親方との決定的な対立を避けるように“救済措置”も取った。会見で八角理事長は「1月4日の評議員会で理事解任になった場合でも、1月場所の後に行われる年寄会の理事選に立候補することは可能です」と来年2月に行われる理事候補選挙への“出馬”を認めることを明らかにした。もし「降格」より軽い「業務停止」だった場合には相撲協会に関わる一切の業務が一定期間禁止されるため、理事候補選挙に出られない可能性もあった。
仮に貴乃花親方が再選を果たせば、3月下旬に理事として新たな役職が決まることになり、実質的な処分期間は2カ月半となる。出席者によると、理事会での決議後に八角理事長は貴乃花親方に「(また)理事になった場合はちゃんと理事の仕事をしてください」と声を掛け、貴乃花親方も「分かりました」と答えたという。また、八角理事長は会見で貴乃花親方に配慮するように「(解任は)人事措置であって処分ではない」とあえて説明を加えている。10月の秋巡業で起きた横綱の傷害事件から2カ月余り。世間を揺るがした大騒動は、一つの節目を迎えることになった。
▽相撲協会の役職 トップは理事長で、八角親方(元横綱・北勝海)は2015年12月に就任。定款で親方の理事は10人と決められ、外部理事は現在3人。以下、定員3人の副理事、役員待遇委員、委員、主任、年寄、65歳の定年後も再雇用で70歳まで在籍できる参与となる。東京開催場所の責任者を務める事業部長はNo・2とされる。理事と副理事の役員候補は2年に1度改選され、次は来年2月に選挙を実施する予定。親方であれば誰でも立候補できる。
【過去の理事処分】
★減俸 1987年に失踪して廃業した双羽黒を横綱に推挙した責任で、当時の理事に3カ月間の減俸が下された。96年には貴乃花親方の父親の二子山親方(元大関・貴ノ花)が年寄名跡購入のため贈与された3億円を一時所得として申告せず、追徴課税された問題で巡業部長職を解任され、6カ月間の減俸処分となった。
★辞任 2008年に起こった大麻問題では、逮捕された幕内・若ノ鵬の師匠間垣親方(元横綱・2代目若乃花)が現役理事初となる辞任。尿検査で大麻に陽性反応が出て解雇された十両・白露山の師匠・北の湖理事長(元横綱)が、理事長職を引責辞任した。11年の八百長問題では弟子が関わった北の湖、九重(元横綱・千代の富士)、陸奥(元大関・霧島)の3理事にいずれも退任勧告があり理事を辞任した。
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