東京マラソン参戦記 記者が見た大規模イベントの風景
2018年02月25日 20:25
マラソン
ただし実際、レースに出てみるとペットボトルをウエストポーチに入れているランナーがいたし、そのチェックが細部にまで行き届いているかと言われると、見た目にはまだ改善点があるように思う。念入りに持ち物検査をしているとスタートゲートに行く時間がなくなってしまうのでなかなか細部にまでは目に届かないのかもしれない。
テレビ画面では見られないもの…。それは有名人でもエリート・アスリートではない草の根ランナーの方が「メッセージ性」をもっているということだろうか。
20キロ地点で私の目の前にいた初老の男性の背中には「ステージ4だけど走ります」と書かれていた。おそらく末期のがん患者なのだろう。それでその走力?こうなると私自身のけがなど比べようのない言い訳にしかならないので、しばらく必死に食いついていった。でもやがて彼の背中は遠くなっていった。どういう人生を歩んできた方なのかはわからない。でもこの日は、それなりの覚悟をもってレースに臨んだのだと思う。気温が低くて手がかじかんで動かなかったが、心の中では拍手を送った。
米国から来た女性の背中には「CANCER・SURVIVOR(元ガン患者)」と書かれていた。相当な苦難を乗り越えた方だと思う。その彼女には申し訳なかったが、向かい風の区間では後ろについて“風除け”になっていただいた。なんだか怒られそうだが、私はこれまた心の中ではきちんとエールを送ったのでご容赦いただきたい。
5年前に比べて外国人の参加者が少なくとも私の周囲には多かったように思う。台湾から来た若い女性は腰に「フルは初挑戦です。よろしくお願いします」と日本語で書かれたメッセージを記していた。日本橋付近では中国の国旗が降られ、その前を中国から来た多くのランナーが両手を挙げながら通過していった。
私は30キロ付近の銀座で脚が止まった。その先の品川が横浜くらいの距離に感じた。けがをして練習不足だったのに五輪で金メダルを獲得した日本選手もいたが、そんなハッピー・エンディングとは無縁だった。最後に抜きつ抜かれつで競り合ったのは背中に「ICELAND」とプリントされたTシャツを来た外国人男性。東京も五輪が近づくにつれてさらに国際化が進むのだろうが、42キロの道中で苦しむ者同士には“国境”は感じなかった。
日本最高記録を樹立した設楽悠太選手(26=ホンダ)とは彼が26キロを通過しているときにすれ違った。表情には余裕があった。その時私はまだ12キロ。この差はいったいどこから生まれてくるのだろうか?そう思いながらしばらくもんもんとしながら走り続けた。
ボランティアの方々は素晴らしかった。38キロ地点で私の心は折れそうになったが、水を渡してくれた女性が「もう少しです。歩かないで」と声をかけてくれた。単純なおじさんはこういう声にすぐに反応する。タイムは5年前より23分遅い4時間39分だったが、一歩も歩かなかったことが最後の最後で適度な満足感を与えてくれた。
コースが変わった昨年の参加者の方が各所で語っていたが、フィニッシュしたあとの「動線」はとても長い。手荷物受取りの日比谷公園までは約2キロ。この日は寒かっただけに、ここはもう少し改善できないのだろうか?雨や雪が降ると体が冷え切って健康上、良くないので今後の検討課題にしていただきたい。(高柳 昌弥)
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