故平尾誠二さん慕ったバレーボール元日本代表・南克幸さん 競技の垣根越えた男の交流

2019年04月29日 01:41

バレーボール

故平尾誠二さん慕ったバレーボール元日本代表・南克幸さん 競技の垣根越えた男の交流
バレーボール元日本代表の南克幸氏 Photo By スポニチ
 千代の富士、ムハマド・アリ、アーノルド・パーマーら2016年にスポーツ界の巨星がこの世を去った。ラグビー界では、平尾誠二さんがこの年の10月20日に53歳の生涯を閉じた。「胆管細胞がん」だった。交流があった関係者に、生前の姿を語ってもらった。
 競技の垣根を越えてミスターラグビーに魅了された人物がバレーボール界にいる。元日本代表で92年バルセロナ五輪に出場した南克幸さん(46)は「男が憧れるオーラがあった。(7歳)年下の私を立ててくれた。平尾誠二という人間に憧れていた」と、打ち明けた。

 自身の現役晩年に知人を介して知り合った。会合は主に神戸市の繁華街・三宮。複数人で食事し、交流を深めた。10年来の付き合いだった。

 野暮なことは言わない人だった。偉大な父(将之さん、72年ミュンヘン五輪金メダル)を持つ境遇を聞かれたり、人生訓を諭されるようなことはなかった。「本当のジェントルマン。いつも楽しい席。他愛のない話でゲラゲラ笑い合った」。バーで葉巻を吸う姿は、今でも忘れられない。

 たった1度だけ、平尾氏の心の声を聞いたことがある。「ポロっとバレー界はいいな、人気があってと。新聞報道を見れば、ラグビーの方が扱いが大きいじゃないですかと答えた記憶がある」。もしかしたら、テレビで大きく取り上げられるバレーボールに、せん望の眼差しを持っていたのかもしれない。

 南さんは妻の実家、老舗海運業の加藤海運(神戸市)の社長を13年から務めている。肩書きが変わっても、平尾氏と“飲み仲間”の関係は変わらなかった。「また連絡して来いよ―」。あの柔らかい声が今も耳に残っている。(2016年12月30日大阪版再録)

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