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【荒磯親方 独占手記】美学貫いた17年 必要性感じた「言葉の勉強」

2019年09月30日 08:30

相撲

【荒磯親方 独占手記】美学貫いた17年 必要性感じた「言葉の勉強」
入門時から先代の師匠である元横綱・隆の里の鳴戸親方(右)から徹底的に指導を受けた Photo By スポニチ
 今年初場所限りで引退した第72代横綱・稀勢の里の荒磯親方(33=田子ノ浦部屋)の引退相撲が29日、東京・両国国技館で行われ、超満員の約1万1000人が詰めかけた。最後の横綱土俵入りに続いて行われた断髪式では鶴竜、白鵬の両横綱ら約300人が参加し、師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)が止めばさみを入れた。17年のまげ生活に別れを告げて新たな一歩を踏み出したスポニチ本紙評論家の荒磯親方が、手記を寄せた。
 今年初場所で引退してからここまで、あっという間でした。17年間の相撲人生では苦しいときもつらいときもありましたが、多くの人に支えられてきました。引退相撲では感謝の気持ちを伝えられればと思っていましたが、多くの人に足を運んでいただき、無事に終えられたことをありがたく思っています。断髪式で止めばさみを入れられたときは「いよいよ力士として最後だな」と思いました。

 相撲人生ではたくさんの出会いがありました。中学を卒業した15歳のとき、先代師匠のもとに入門しました。教えられたのは「力士としての美学」「一生懸命相撲を取ること」「相手を敬うこと」「決して逃げないこと」「沈黙の美学」など挙げればキリがありません。徹底的に指導されて、自分なりに17年間、やり通せたのではないかと思います。引退相撲は先代師匠の誕生日でしたが、これも何かの偶然なのかもしれません。

 一生懸命、正々堂々やり続けたことは、ピンチのときやいろんなところで結果になって表れました。横綱から指導を受けられるという経験は貴重です。その先代師匠の教えを次につなげていくのも私の務めだと考えています。「これ」というものを追求し、つまらないこともやり続けられるような、忍耐強い力士を育てたい。そのために「言葉の勉強」も必要だなと考えています。

 親方になって、現役時代には知り得なかったこともたくさんあります。毎日が発見の連続で、新鮮な日々を送っています。現役時代は口数の多い方ではありませんでしたが、今後は相撲界の発展のためにもっともっと動いて、皆さんに喜んでもらえる大相撲にしていければと思います。(元横綱・稀勢の里)

 ◆荒磯 寛(あらいそ・ゆたか=元横綱・稀勢の里、本名萩原寛)。1986年(昭61)7月3日生まれ、茨城県牛久市出身の33歳。2002年に鳴戸部屋(当時)に入門。同年春場所に萩原のしこ名で初土俵を踏む。04年夏場所に17歳9カ月で新十両、同年九州場所に18歳3カ月で新入幕を果たし、稀勢の里に改名。10年九州場所では白鵬の連勝を63で止めた。11年九州場所後に大関昇進。13年12月に部屋の名称が田子ノ浦部屋に。17年初場所後に第72代横綱に昇進。同年春場所で22年ぶりの新横綱優勝を果たした。左大胸筋の負傷の影響もあり横綱在位は12場所、今年初場所限りで引退。年寄「荒磯」を襲名した。優勝2回。殊勲賞5回、敢闘賞3回、技能賞1回。得意は左四つ、寄り、突き、押し。

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