早大、新国立で荒ぶる! 11年ぶり大学日本一、斎藤主将「全員が努力した40日間だった」
2020年01月12日 05:30
ラグビー
「6万人近くのお客さんの中、国立で試合ができ、本当にうれしく思う。早明戦以降は負けたら終わりだった。全員が努力した40日間だった」
12月1日の敗戦で生まれたテーマは「REBORN(リボーン=生まれ変わる)」。接点で差し込まれた反省から、防御のキーワードに「勝ちポジ」を掲げた。前に置く足の膝を鋭角に曲げて顎を引き、ボールアウトと同時に勢い良く飛び出す前傾姿勢を徹底した。たった一つの意識付けで、箸本ら相手の突破役を仰向けに倒すタックルへと激変。斎藤は「ディフェンスは成長した。特に1対1のタックル」と振り返った。
ルーキーイヤーから伝統のジャージー“アカクロ”を背負ってきた斎藤、岸岡、中野の3人。時には強烈な嫉妬心が成長へとつながった。斎藤が4年間で最も「悔しかった」と振り返る出来事が、17年春に中野が日本代表の予備軍に選出されたこと。「(自分は)変わらないといけないと思った」。19年W杯出場を公言し、自分自身を追い込んだ。目標はかなわなかったが、今年はサンウルブズのスコッドに選ばれた。
斎藤を“着火”させた中野は、右ふくらはぎの肉離れで対抗戦最後の早明戦を欠場した。チームは完敗。燃えないはずがなかった。前半12分の丸尾の先制トライでは、斎藤から直接パスを受けて3人を引きつけラストパス。逆に同26分は二層ラインの後ろに控えておとりとなり、空いた内側のスペースを切り裂いたCTB長田のトライを導いた。「準備してきたことができた」と話せば、岸岡も「自分でも行けるし、おとりにも使える。存在は大きかった」と感謝した。
岸岡は、1年時の16年度選手権初戦で同大に敗れた後、斎藤が「絶対に勝てた」とつぶやきむせび泣く姿が脳裏に焼き付いていた。「俺はコイツを絶対に勝たせたいと思った」。翌年も初戦敗退。昨季も4強止まり。新チームとなった1年前、「日本一のハーフ団になろう」と誓い合い、最初で最後の決勝でついに約束を果たした。「胴上げできて良かった」と、宙に舞う盟友をまぶしく眺めた。
11年前の日本一後は帝京大の後塵(こうじん)を拝し、同じ伝統校の明大には先に復活を許した。新しい聖地にこだました「荒ぶる」は、新生ワセダの産声となった。
【データ】
〇…大学選手権決勝での早明対決は10度目(早大の4勝6敗)。早明戦で敗れたシーズンの決勝で雪辱したのは初めて。早明戦で敗れた明大がリベンジした例は過去3度ある。
〇…早大が歴代最多を更新する16回目の大学選手権優勝。歴代2位は明大の13回で、同3位は帝京大の9回。早大は同校史上2位タイのブランクとなる11大会ぶりの優勝。02年度の13大会ぶり優勝が最長ブランク。
〇…両軍の合計80点は決勝史上最多。従来は75点で、98年度(関東学院大47―28明大)と13年度(帝京大41―34早大)の2度ある。
▼荒ぶる 1922年(大11)ごろに早大ラグビー部員の小野田康一によって作詞された第2部歌。戦後は一時忘れられていたが、ソプラノ歌手の三浦環に吹き込んでもらったレコードを小野田に聴かされた50年度の主将・松分光朗らが「早明戦に勝ったら歌おう」と試合前に練習。12月3日の早明戦勝利後に歌ってから、優勝した時のみ歌うことを許される伝統が生まれた。なお、第1部歌「北風」は22年8月の夏合宿中に、部員の川浪良太がスコットランド民謡「マーメイド」に合わせて作詞した。
▽国立と早明戦 関東大学対抗戦伝統の一戦が国立競技場で初めて行われたのは1973年(昭48)。秩父宮ラグビー場の改修と観客数の増加を機に変更され、82年には収容人数を超える6万6999人を動員。名勝負が多く生まれ、明大が終了間際の逆転で初優勝した72年度選手権決勝、早大が不利予想を覆した81年度対抗戦、「雪の早明戦」=写真=と呼ばれる87年度対抗戦、対抗戦で早大が劇的引き分けに持ち込み、選手権決勝で明大・吉田義人が決勝トライを挙げた90年度の2試合などがある。
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