神戸製鋼・谷口到 天国の平尾さんへ連覇誓う「胸を張って報告したい」
2020年10月20日 05:30
ラグビー
「コロナを挟んだので難しいシーズンになると思うけど、連覇を達成して胸を張って平尾さんに報告したい」
筑波大では選手生命を脅かす故障と、やんちゃな面もあって3年から練習から遠ざかった。「そんな僕をスカウトしてくれた」。じきじきにもらった言葉は今も大切にしている。
「理不尽の中に身を置くことが一番、人間を育てるんや。理不尽に勝て――と。その言葉はずっと僕の中にある」
入社後は毎年、契約交渉の席で膝をつき合わせた。粘って給料アップを訴えたが、切れ者に要求を通すのは難しかった。「でも、まとまると、あの“カッカッカ”っていう笑い方で、お前と話すとホンマに長くなるわーて」。公の顔は厳格でも、プライベートになれば人情家。食事によく連れられたのは、“差額”の埋め合わせだったのかもしれない。
亡くなる16年も5回ほど交渉で顔を合わせた。会う度にやせていった。夏前に突然かかってきた電話で「家族を大事にしろよ」と言われた。それが最後のメッセージだった。
15季ぶりに日本一になった2季前、優勝を告げる笛をピッチで聞いた。「平尾さんの顔がバンと浮かんで、涙が出た。僕はめったに泣かないんですけど」。11年W杯出場の実力者も36歳。もう一度、あの感動を味わうことが、天国のミスターラグビーを喜ばせることになる。
◆谷口 到(たにぐち・いたる) 1984年(昭59)10月1日生まれ、茨城県那珂市出身の36歳。茨城・茗渓学園高―筑波大―神戸製鋼。運動能力が高く、ロック、フランカー、ナンバー8をこなす。神戸製鋼ではこれまで136試合に出場。日本代表では11年W杯に3試合出場した。1メートル88、105キロ。
おすすめテーマ
2020年10月20日のニュース
特集
スポーツのランキング
-
大相撲11月場所 観客上限を5000人に 八角理事長「専門家のアドバイス受け変更」
-
元関脇・嘉風、大分県佐伯市などを提訴 同市PR活動で引退に追い込まれる負傷
-
松山、トリプルボギー響き21位で終戦「少しずつ悪い方向に行ってしまった」
-
三浦桃香、ティーチングプロの資格取得目指す「毎日勉強しています」
-
豊田自動織機 4本塁打で大勝 決勝T進出の「5位以内確定」
-
シオノギ製薬 驚異の粘りで息を吹き返す 殊勲の谷本「サヨナラってこんなにうれしいんだ」
-
クレルモン・松島、先発フル出場 3トライに絡む活躍「サポートプレーがいい方向に」
-
神戸製鋼・谷口到 天国の平尾さんへ連覇誓う「胸を張って報告したい」
-
ディーン元気が今季を総括 クラウドファンディングの支援に感謝
-
“初出場”飯塚さんが総合V「優勝できて非常にラッキー」