アメフト京大 81歳の水野弥一氏が現場復帰してまで伝えたいこと「何かを得たいなら…」
2021年10月18日 05:30
アメフト
1974年から37年間、京大を率い、一時代を築いた名将。強烈なカリスマと独特な指導で、国公立大として唯一となる甲子園ボウル優勝を6度も成し遂げた。2011年に勇退後も、追手門学院大などで指導。現在、京都両洋高ヘッドコーチを務める81歳の同氏に、名門再建を託す声がかかったのが今春だった。
「相原監督から“力になってくれ”と言われてね。まあ、いろんなことを話できたら、と思って引き受けたわけですわ」
アドバイザーとして、週に1~2度、グラウンドへ足を運ぶ。学生の気質は日本一を争った30年前、退任した10年前と比較しても、明らかに違う。スポーツの持つ危険度に対する許容は狭くなり、一時代前の厳しい指導は受け入れられにくい風潮がある。「今の学生に一番伝えたいことは?」の問いに、少し考えてから水野氏はこう言い切った。
「もっと強くなれ、自分に厳しくなれ、ということでしょうな。勝つ、という信念があるから、昔は徹底的にやっていた。強くなるということは限界を超えること。何かを得たいなら、リスクを冒してやらなあかん」
時代の変化は、もちろん理解している。それでも、当世風に迎合するつもりなどない。開幕2連敗でブロック3位以下が決まり、京大は今年も日本一への道を絶たれた。「コーチ?言われたら、何でもやりますよ」。不可能を可能にしたあの頃と同じように、水野氏の瞳には反骨の炎が宿っている。
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